第52章 春と言えば…? 中編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
「やっ…んっ、着て…無い…し、
脱がせてる…んっ、じゃん…ドレスッ」
「ずっと、着ときたかったか?
確かに、そのドレスは似合ってるが。
それを脱がないと、
ここから帰れないぞ?それに……、
これは、俺が
君に着せた物じゃないだろう?」
杏寿郎の言葉にみくりがハッとする
一瞬で色んな感情が
こみ上げて来るのを感じて
ギュッと杏寿郎の服を握りしめていた
自分でも自分の声が震えそうなのは
痛い程に分かっていた
「着させて…くれる……の?
杏寿郎。私に……、杏寿郎がドレス」
「ああ。勿論そのつもりだが?
来月になったら、打ち合わせとか
ドレス合わせとか…する予定にしてる」
結婚式は本当に内々の身内だけで
人前式って前に言ってたから
確かにそんなに普通の結婚式程の
準備らしい準備も要らないだろうけど
「それに、ある程度…
当日の流れの予定が決まってるんだがな。
君が着たいドレスも勿論だが、
あっちのイメージの物も
着てもらう事になりそうだがな」
私が着たいのだけじゃなくて
あっちのイメージのって言ったな
「もしかして、撮影のモニターとか?」
「俺が、この4月から担当してる企画でな。
臨海地区にある、新しく出来た。
結婚式場のCM撮影をな…、
先方の希望でモデルじゃなくて、
本当に結婚する2人でと、うちに
依頼があったんだ」
杏寿郎の言葉にみくりが
顔を顰める
「でもさ、杏寿郎。
ブライダル関連のプロデュースとかって、
木崎さんの管轄じゃなかった?その為の
ん?もしかして、4月からってまさか」
「折を見て、話すつもりだったんだがな。
ここまで話たら、話すが。
木崎先輩はうちの部署の、主任に昇格したんだ。
木崎先輩のプロデュースが成功したからな。
で、だ、俺がそのブライダル関連の
プロデュースチームのリーダーを
引き継ぐ事になった訳だ。その
木崎先輩からの直々のご指名でな」
みくりが変な顔をして
杏寿郎の顔を見ていたので
「どうせ、俺が、ブライダル関連の
プロデュースとか似合わないし、
おかしいって言いたいんだろ?
俺も断りたかったんだが……」
「でも、それって実質の出世だし
出世街道に乗ったって事でしょ?」
「だが、折角新婚なのに、
仕事が忙しくなるし、頻繁に
帰るのが遅くなるんだぞ?」