第52章 春と言えば…? 中編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
「昔、まだバブルの名残が
あった頃にね、この中条市にも市営の
山の中の自然豊かなリゾートホテルを
建築するって計画があったんだよ」
ネモフィラ祭りの会場へと続く
道をみくりと2人で並んで歩く
「結構、大きなリゾート計画
だったんだけど、バブルの崩壊と
共に、その計画毎立ち消えになって。
ホテルの建設までは着手されてなくて、
更地になった広大な土地だけ残ったの」
「山林の中の広大な更地…か」
みくりの言葉に杏寿郎が
腕組みをしながら唸り声を上げる
「でも、こんな土地何も
使い道がないじゃない?山の中だし。
当然、その時の借金が市にはあるし。
当時から山の土地なんて地価価値なんて
あってない様な物だったしさ」
山や田んぼは買い手が付かないとは
良く言う話だもんな
「使わない広大な土地なんて
市も持ってても仕方ないでしょ?
介護施設作るにしても大きすぎるしね。
市としても手放したかったんだと
思うよ?持っててもなぁーんも
メリットのが無い土地だからね」
「で、市の競売に掛けられていた
その、整地だけされた土地を…。
破格の安値で手に入れた訳か?
成瀬さんとやらは」
話の筋が見えたので
杏寿郎がみくりにそう問いかけると
うんとみくりが頷いて
「丁度、それが、5年前の話でね?
だだっ広い土地があるんだが、
それも山の中の周りに何もない。
みくりちゃんなら、何にする?って」
「資本金らしい物や何もない状態で
その土地で金儲けしろって事か」
「その前から、後継ぎが居なくなって
引き取り手の無い田んぼを買い上げて
コスモス畑とか、レンゲ畑をね
作ったりする事業は、花いっぱい
中条市プロジェクトで、市と
共同でやってたんだよ。だからもう
”ネモフィラでもばら撒いとけば?”って
まさかそんな事だと思ってなくて言ったらさ」
話しながら歩いていて気が付いたが
これ 周囲の木整えられてるんだな
ある程度 駐車場から林の奥へと向かって
その先を左折すると
一気に視界が開けて
水色の海の様にも見える
一面のネモフィラの絨毯が見える
それにいい匂いがする
さっきも嗅いだヤマメの焼ける匂いだ
「今はネモフィラ祭りしてるからね、
持留のおじさんもここで
ヤマメの塩焼き売ってるし、
うちのおじさんも、トマト売ってるよ?」