第13章 銀の流れる川 後編 お相手:竈門炭治郎
次の日
中庭で炭治郎が伊之助と一緒に
鍛錬をしていると
伊之助が炭治郎の様子を見て
異変に気が付いたのか
じっとこちらを注視していて
「どうした?伊之助?」
「健太郎っ、お前…もしかして、発情期か?」
「い、いいい、伊之助っ!何を言って……」
炭治郎が伊之助の言葉を
両手を振って慌てて否定するも
伊之助が被り物を外して
炭治郎に顔を近づけたかと思うと
スンスンと匂いを嗅いでくる
「伊之助、こら、やめないか。匂いを嗅ぐな」
「いや、やはりな!俺の目に狂いは無かった訳だ!」
何かの確信を得たように伊之助が言った
「俺の目に狂いが無かったって、何の事だ?」
「言い逃れはできねぇぞ!健太郎。
オスの匂いがプンプン、してやがるからな!
間違いねぇぜ!で、いいメスでも見つけたのか?」
伊之助の言葉に
炭治郎が一瞬
みくりの顔を思い出してしまった
「嗅いだんだろ?匂い」
嗅いだんだろうと伊之助に言われて
炭治郎がハッとする
そうだ 俺は確かに
何度もみくりさんの 匂いを嗅いでしまって
俺は 鼻が良いから それって
つまりは……
「あ、…ああ、嗅いだには嗅いだが…」
みくりさんの ”女”の匂いに
俺の”男”の部分が反応してしまっていると
言う事で…
確かに みくりさんの匂いを嗅いで
俺は凄く いい香りだと感じたんだ
俺は鼻が良いから
近くになんて寄らなくても
相手の匂いは分かるんだ
離れている場所からでも
それなのに……あの時
抱きかかえた時に
もっと 鼻を寄せて
嗅ぎたいと思ってしまっていたのは事実で
もっと近くで嗅ぎたいって 感じたんだ
俺がみくりさんの匂いに
酷く 引き寄せられていたって事なのか?
その 感覚とか思考とかそんなんじゃなくて
もっと こう 本能的な部分で
惹かれて……しまってた……のか?
みくりさんの匂い
炭治郎は自分の記憶の中に残る
みくりの匂いの記憶を思い返して
その首筋に鼻を寄せて
嗅ぎたいだなんて
そんな事を考えてしまっていた