第52章 春と言えば…? 中編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
「で?君が大変だと何度も
言って居たが、これをどうするんだ?」
ズイっと みくりが
杏寿郎の目ん前につくしを持って来て
「ここにね、アスパラの茎に
ついてるアレの一周するバージョン
みたいなのついてるじゃない?見える?」
杏寿郎が目の前のつくしから
自分の身体を離して
「いや、近すぎて見えないんだが?
ああ、それの事か。それがどうしたんだ?」
「これが、ハカマって言うんだけど。
ここを全部取るの」
「取るのか?」
そう杏寿郎が問い返して
「そ、取る」
みくりが頷いた
「全部か?」
「そ、全部、取るの」
この大量のつくしを見て
杏寿郎がため息をついた
みくりが手伝えと念押しを
何度もしてたのも
食べるだけでいいと言って
やたらと強調してた理由がこれとは…な
「で、つくしがね、めちゃくちゃ
美味しいんだったらさ、私も取るよ?
もやしのひげ根取るのも、豆の筋取るのもね?
もやしは、そのままでも
もさもさするけど使えなくもないけどさ。
根切りも売ってるし」
そう言いながらもみくりが
隣に置いているザルに
ドンドンとハカマの取れたつくしを入れて行く
「速い…な」
「大きいおばあちゃんと、
一緒にしてたからね、小さい頃にね。
ゴミ、気にしなくていいよ?
その為に新聞広げたんだもん。
どうせ、ザルに入れて洗うし。
ゴミもそのまま新聞丸めて捨てるだけだから」
それから 知らない内に
お互いが無言になっていて
黙々とつくしのハカマを取っている
みくりを見てると
止まりそうになっていた
自分の手を杏寿郎が動かした
「何か…アレだな」
「嫌になって来たんでしょ?
杏寿郎、苦手だもんね、単純作業」
そう言いながらも作業のペースは
全然最初と変わっていないから
こう言う事をしている時のみくりの
集中力は俺にはない物だと
ある意味感心してしまっていると
「じゃあ、私これしとくから
杏寿郎は片付けが出来る範囲でして置いてよ?
そのままでいいとは、言われてるけど
ゴミとか分別して置いて欲しいし?
袋はあっちにあるから」
そう作業しつつも
コンテナハウスを指差して
「ああ。分かった」
「そうだなぁ、後15分ほどしたら
フロントに電話して貰おうかな?
あ。そうだ、
服着替えるよね?土とかついてるし」