第52章 春と言えば…? 中編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
「って、飲んでばっかりじゃなくって
焼きトマトも、アヒージョも、
椎茸も、もう食べられるよ?」
みくりが透明なミルに入った
岩塩を焼けて傘に水滴が浮いて来た
椎茸に掛けると 杏寿郎に
食べる様に促して来て
その大きな椎茸に被りつくと
口の中に一杯に 椎茸の香りが広がる
「これは…、間違いないな…」
「ん~、椎茸、美味しいね!
やっぱり、椎茸は焼きたてが
一番だし、炭火で焼くのがいいし、
お化け椎茸が一番美味しいよ~」
こうして 美味しそうに
食べている みくりの顔を見ていると
今こうして 食べている椎茸も
飲んでる スーパードライも
更に美味く感じるから 不思議な物だな
「美味いか?みくり」
「うん、美味しいっ」
美味しくて 幸せ って
顔に書いてあるもんな
もう一口 椎茸に噛り付くと
「ああ、本当に、美味い…な」
そう杏寿郎が噛みしめる様に言った
「椎茸を焼いていた場所で、
それを焼けばいいのか?」
みくりが下拵えをしていた
いかにも バーベキューと言う
定番の肉と野菜とエビが交互に
刺さった串を指差した
「うん、お肉焼いといて。
でも、場所、開けておいてね?」
「そろそろ、何を君が用意してたのか
教えてくれるのか?みくり」
ふふふふとみくりが笑いながら
嬉しそうな顔をしているので
かなり 自信のある物なのだろうが
「見たい?」
「随分と勿体ぶるんだな?
そんなにいい物なのか?」
「うーん、好物と好物と、
好物と好物ぐらいには。
ちょっとこっち持って来るから、
ヤマメと筍、お願いね?杏寿郎」
みくりにそう言われて
ヤマメと筍を返して待っていると
コンテナハウスのストッカーから
みくりが発泡スチロールの箱を
抱えてこちらに運んで来て
その厳重にテープ止めをされているのを
丁寧に剥がして行ってその蓋を開いた
その中に入っていたのは
「本日の食材は、こちら
新鮮な、旬の貝類と言う事で……っと、
ああ、鮑は旬じゃないけど、サザエも
牡蛎も、ホンビノス貝も今が旬だね」
サザエと鮑は 水と空気が入った
大きな袋の中に入れられていて
生きているのか鮑は
ビニールに張り付いていて
「まだ、生きてる鮑だから…、
サザエは面倒だから、そのまま焼くとして」