第52章 春と言えば…? 中編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
「でも、コロナの騒ぎになってから
職場の同僚とも、バーベキュー
気軽に出来なくなってたからな。
こうして、本格的なのは久しぶりだな」
「杏寿郎は、
バーベキュー好きだもんね。
あ、火が起こせたらさ……」
火が起こせたら
ヤマメに串を打って来てと
みくりにお願いをされてしまって
受付のある棟へと戻った
松代がこちらに気が付いて
「ヤマメ、締めて置きましたよ?
こちらで、しましょうか、どうぞ」
と言って案内されたのは
野外の調理場で 普段はそこで
つかみ取りの魚の処理をしてる場所だった
「すいません、お忙しい所に
お時間を頂き、ありがとうございます」
「いいんです、いいんです。
今は営業時間外ですから。
串、どうされますか?」
「ああ、串なら持たされてるのでこれで」
辰巳にお願いしていた
ある物のついでに作ってくれていた
竹の串を松代に見せた
「魚は捌けます?内臓とエラと
血合いを綺麗に除いて頂きまして…」
そう言って まな板の上で
ヤマメの下処理をして行く
手順を説明されてしばらく
手分けしてその処理をしていると
不意に向かいの松代がその手を止めて来て
「先ほどは、そのっ
申し訳ございませんでした。
その、半分強制する様に、
地ビールの試飲をおふたりに
させてしまいまして…。今は
勤務中であるのに、、自分の
個人的な感情で動いてしまって…、
すいませんでした、でも……」
杏寿郎がヤマメの
下処理をしている手を止めて
「構いません、俺は気にしておりませんと
言えたらいいのですが。お聞きしても?
その、渡辺酒造の渡辺さんと言う人は、
彼女とは、随分親しい間柄の様だ」
ヤマメに串を打ちながらも
松代が杏寿郎に話をして来て
みくりとその渡辺 健太郎と言う
渡辺酒造の一人息子は
みくりの両親が離婚して
小学生の時にこちらへ転校して来たが
初対面の人に対しては
人見知りをする性格と
みくりは町から来た人間だと
周囲に中々打ち解けられずに
浮いた存在であった彼女を
彼はクラスは違って居たが
見かけては 気に掛けて
みくりに話しかけていたらしい
付き合い始めたのは
高校生になったからで
みくりの大学進学と
彼の方の酒蔵修行への専念の為に
一旦は合意の上で別れたのだそうだ