第52章 春と言えば…? 中編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
さっきの釣り堀からは
目と鼻の先にある場所で
みくりが声を掛けて来て
「うちの実家の家業はこれね。
筍でも、お米でもないの
かと言って山の芋でもないし
基本的に放置の椎茸でもないの」
そう言って みくりが
指を差した先を見ると
そこには大きなハウスが幾つも
立ち並んでいて
「立派なハウスだな、ビニールじゃないし
大きさも凄いな」
「この辺は元々、ミニトマトの
農家が多い地域なんだよ。
だから、じいちゃんも普通の
ビニールハウスでミニトマトしててね。
でもね、私さ小さい頃嫌いだったのトマト」
ミニトマト農家の祖父からすれば
孫娘の喜ぶ顔が見たいと思えども
自分が手塩に掛けたトマトを嫌いだの
不味いだの言われたらなぁ…
「要するに、君の祖父は
君に美味しいと言わせるミニトマトの
栽培に心血を注いでいたと…言う訳だな?」
「そんな事をするうちに、
うちのミニトマトは片山さん家の
ミニトマトと言うブランドトマトの
地位を…手に入れるいう事に…。
で、今度はミニトマトが好きになったの
でもね、夏しか食べれないからね」
ああ 成程 みくりの
言いそうな事だなぁと
杏寿郎はその言葉の先が想像がついたが
「みくりの我が儘のお陰で、
必死になって、地元の農業高校とも
協力して、1年中ミニトマトを
収穫できるまでになった……んだ家は。
それのお陰で、今はミニトマトだけで
十分な恩恵を受けてるがな?」
ハウスの中から叔父さんが出て来て
ふたりを先回りして出迎えてくれた
「で、君の事だ、単なる
ハウスの見学…でもあるまい?」
「見てみたくない?最新の
ミニトマトの栽培、土使わないんだよ?」
土を使わない?
ハウスの中に入ってその言葉の意味を知った
綺麗なのだ
ハウスの中は明るくて
清潔で 白いシートで床が覆われてて
土が落ちていない
「割かし、今は主流になって来てるが。
培養液栽培ってやつだな、養分のある
液体を循環させて育ててるんだ。
温度の管理も、みんなコンピューターがしてるし。
収穫も、あれ、見えるか?」
「イチゴとかでも使ってる所あるけど、
赤いトマトを選んで、収穫する機械ね」
土にまみれて 泥だらけで
する農業は一昔前の定番の様だった
「でも、私が高校の時は
まだ手作業だったから、
手伝ってたよ?収穫」