第52章 春と言えば…? 中編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
はっとして持留がそう言うと
店の方へ行って
わさび醤油の入った小皿に
割りばしを乗せて戻って来る
「ほらよ、捌きたて食え」
「わぁーい。頂きます」
「あんちゃんもな。うちの
自慢のヤマメだ。食ってけ」
「すいません、頂きます」
そのほんのりとピンク色の
刺身を口に運ぶ
「美味しいでしょ?間違いない味」
「美味いなんてもんじゃないぞ?
川の魚の刺身は初めてだが、これは美味いな。
全然嫌な、クセもないし、臭みもない
あっさりとし過ぎてないし、ちゃんと
上品な脂があるが、くどくない…そうか。
こんなに美味い物だったのか……」
「でも、一番は塩焼きだよね?」
持留が腕組みをしてうんうんと頷く
「ねぇ、おじちゃん鮎は?
鮎は刺身で食べないの?ヤマメだけじゃん。
鮎は食べれないの?食べてみたい鮎も。
イワナとアマゴとヤマメは刺身あるけど
鮎のお刺身、食べた事ないんだけど?」
「そりゃうちはずっと、ヤマメで
やって来てるからな…鮎はついでだしな。
なぁ、みくりちゃん、食いたいか?」
持留の言葉にみくりの顔が
ぱぁっと明るくなる
「食べたいっ!食べたいですッ。
だって、あんなに美味しいんだもんっ
きっと、美味しいって刺身も」
その2人のやり取りを聞いて行って
みくりのもたらす
新しいビジネスのヒント……を
垣間見た気がした杏寿郎だった
「ねぇ、鮎もさ、炊き込みご飯にしてよ。
前に清水さん所のアマゴの炊き込みご飯
凄い美味しかったからさ。鮎が
美味しくない訳じゃないじゃん?
そしたら、甘露煮と、塩焼きと
炊き込みご飯とお刺身でコース出来るよ」
「鮎のコースか、考えてみるか……」
「そうだよ、鮎もコースいいと思うの。
ねぇ、金のイクラはいつなの?何月?」
「ああ。食べたいのか?
だったら、10月にまた来いよ。
予約は、8月からな週末はすぐ埋まるぞ?
まぁ、伸介に言ってくれたら何とかする。
今日は?持って行くのか?」
「ううん、今日はじいちゃんが
わざわざ朝から釣ってくれたから。
それ、塩焼きにするんだ。
だから、また別の時に、釣りに来たいな」
持留さんに見送られて
そのまま釣り堀を後にする
「君は幸せな環境に居たんだな、
美味い物が多すぎるだろ?」
次の場所へと移動していると
杏寿郎がそう言って来る
「着いたよ」