第52章 春と言えば…? 中編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
縁側に腰を降ろして
整えられた庭を眺める
そこまで大きくは無いが
池があって 金魚が泳いでいる
「あの金魚さ、鯉みたいでしょ?
あれさ、10年前に私が
夏祭りですくったやつ。
金魚鉢なくて、あそこに入れたらさ
あんな、育ちゃってさ鯉みたいになってさ」
3匹居るんだよと
言われて その池に目を凝らす
つつじで出来た 自然の囲いに
松の木と南天と金木犀が植えてある
「綺麗に整えてあるな」
「じいちゃんがいつもやってる、
松の選定も庭木も、おじさんより、
じいちゃんのが器用だから」
「はい、お待ちどうさま」
そう言って 祖母が
みくりと杏寿郎にお茶を出して来て
「玉露…の、いつもならおっさんに
出すお茶じゃないのさ。おばあちゃん」
「ええっ、分かっちゃった?
みくりちゃん、緑茶嫌いなのに
何で、そんなこと分かっちゃうの?
ああ。これ。筍の下茹でだけしたやつね?
これが居るって聞いたのよ?
後、これ。おばあちゃんの筍の煮物ね」
そう言ってタッパーに入った
筍の煮物とジップロックに入った
下茹でだけしてあく抜きをした
筍の水煮を差し出して来る
「おーい。みくり」
電話を終えた
祖父が中庭からこっちへやって来て
「じいちゃん、持留の
おじちゃんに迷惑じゃなかった?
もう、ヤマメのシーズンだから、
営業してるでしょ?おじちゃんの釣り堀も
準備とか忙しいんじゃないの?」
「別に、一般の客なら断るが、
お前とお前の結婚する旦那だったら
いいってよ、ビールあるんだろ?」
「ロング缶の6本だけどね?
草刈りのお礼程度だよ?」
「いいっていいって、どうせ
店に出す分で、エサ抜きしてるの
置いてるだろうからな、刺身も
予約なしでも食えるんだから
お前が気にするまでもねぇ、食ってけ。
伸介には俺が言っとく、からな」
「じゃあそうするね。あ、おばあちゃん
新聞紙ある?持って行く筍包みたいから」
みくりが古新聞に
筍を包んで杏寿郎に差し出して来る
「あのクーラーボックスは、
明日、帰りに寄って返しに来たらいい?」
「それでいいぞぉ~」
「じゃあ、また、明日帰りに寄るね?
持留のおっちゃんの所行って来る」
「裏で仕事してるから、裏来いってよ」
「うん、分かったぁ。
じいちゃんもばあちゃんもありがとうね」