第52章 春と言えば…? 中編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
「今度は、どこへ向かってるんだ?」
「こっちこっち、煉獄サン」
先を歩いていた慎司が
杏寿郎に手を振って合図をして来て
「どれぐらい、貰ってもいいの?」
そう慎司と辰巳に対して
みくりがお伺いを立てると
「全部じゃないの?だって
ほったらかしにしてる様なもんだし、
みくりちゃん、ぐらいしか
喜んで食べないじゃん?
だって売り物にならないやつだし」
と慎司が返事を返した
筍は普通の物の10倍の価値のある
白子筍を堀に来ていて
今度の物は商品価値の無い物らしい
さっきの竹林の辺りに比べると
こっちは杉の木や生い茂る場所で
余り日差しが入らない所の様だった
獣道の様な通り道に合流して
その道を道なりに進むと
開けた場所に
キャンプファイヤーの様に
積み上げられている木が見えた
その木の原木からは 所々に
椎茸が生えているのが見えて
「椎茸か」
「ただの椎茸じゃないよ、原木椎茸。
椎茸は大体菌床で栽培されてるけど、
やっぱり風味や味は、
菌床のは原木には敵わないからね」
「原木椎茸か…、と言うか
物凄い異彩の存在感を感じるんだが?」
その組み上げられた原木から
椎茸が生えているのだが
あちこちに異常に成長してる椎茸が見えて
「そ。俺等はおばけ椎茸って
その大きいヤツの事呼んでるけど。
偶に忘れた頃に生えて来たり、
影になってて、取り忘れてたやつが
それになるんだけどさ」
「俺の手の平ぐらいありそうだな…」
「収穫しないで置いといて貰ったの。
おばけ椎茸食べたくてさ。普通はね
この傘がほとんど開いてなくて、
閉じていて、軸ね、石づきの所が
太くて短くて、傘が肉厚なのが美味しい
椎茸って一般的に言うんだけどね?」
そう言いながら綺麗な椎茸には
見向きもしないで
その手の平程の大きさのおばけ
椎茸を取るとこちらに向けて来る
「私は、こっちの方が好きなの。
杏寿郎はお家で椎茸育てた事ある?
今はその辺のホームセンターで
菌床のブロック売ってるからさ。
お家でも収穫したばっかりの
椎茸食べられるよね?」
「家で、椎茸が育てられるのか?」
どっかからか慎司が
大きめの木の枝を拾って来て
「採ったら言って~。俺、叩く役目~」
そう言いながら その太目の
木の枝を振り回した
「叩く?何を叩くんだ?慎司君」