第52章 春と言えば…? 中編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
「ほらよ。お前のお目当ての白子。
すぐ、食うんだろ?あっちに
包丁とまな板と用意してるから。
俺は、白子掘るからよ。後は自分でしな」
そう言ってみくりの手に
小さめの筍をポンと乗せる
「杏寿郎、見た事ある?白子の筍。
地面から出てないヤツなんだよ。
白子は、普通の筍の
10倍の商品価値があるんだよ。
だから、白子ばっかり
採れたら儲かるって話ね」
みくりがこちらに向けて
見せて来た15センチほどの
小さな筍は白子と言うだけあって
皮の色が薄い茶色をしている
「筍は鮮度が命だから!
掘った瞬間から苦くなるんだよ、
ちょっと待ってて、これっ
洗って来るから!」
そう言って皮を剥いて
その辺に捨てながら
小走りで小川の方へ行って
「あ、家の小川の水の
水質、飲水できるんで、安心して下さい。
でも、父が浄水ボトル用意してるから
川の水も15秒で飲めるんで」
辰巳がそう言って来て
杏寿郎の心配に先回りして来たが
みくりが随分と小さくなった
筍を持って戻って来て
用意していた折り畳みのテーブルに
用意を頼んでおいた
浄水ボトルの水で再度洗い直すと
その場で筍を薄くスライスして
紙皿に上に並べて行く
「杏寿郎、筍、切れたよ!
慎ちゃんと、辰巳くんも。
おじさんは、今、忙しいから
掘るのに数枚置いとくとして。
はい、わさび醤油。食べてそれも急いで」
本当に新鮮な筍でしか出来ない
掘ってから30分とも言われているが
まだ掘って 10分も経ってない
文字通りの堀たての筍の
お刺身で
「そう言えば、筍を
刺身で食べるのは初めてだな」
「そうでしょ?一番贅沢な
掘ってすぐにしか出来ない食べ方だもんね」
そう言いながらも
割りばしを配って
「俺も、食うの初めてかも?」
「掘ってる内に時間経っちゃうから、
茹でちゃうもんね、すぐ」
みくりがお先っと
スライスした筍を箸で取ると
わさび醤油につけて口に運んだ
「うーん、そうそう、この味この味。
久しぶりだなぁ、売ってるのとか
送って貰っても、生じゃ食べれないしね」
恐る恐るに筍の刺身を食べてみると
茹でた物にはない歯ざわりと
筍の本来の香りが口の中に広がる
「これは……、確かに
生にしかない味わいだな…、美味い」
一種の感動にも似た物を
杏寿郎が感じていると