第52章 春と言えば…? 中編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
おじさんがみくりに
アウトドアでシートを固定したりする
ピンを手渡して来て
それをみくりが受け取ると
また 竹林を見回して
筍のあった場所を空中に点として
描きながらにラインを数本また空中に引いて
「みくりは、何を
さっきからしてるんだ?」
「筍の生えてる場所の計算ですよ、
みくり姉は自分が美味しい
筍を食べたいが為に、こっちに
居た数年間の間、早朝から
筍掘り……して来てるんで。
独自の計算式を、
見出したとか…言ってましたから」
「みくりちゃんの探した
筍は、味もいいし、
商品価値が高いから、
成瀬さんの店でも
高く引き取ってくれるからさ。
親父も、みくりちゃんに
筍掘るの付き合わせてたもん昔っから。
煉獄サン。掘れた?手伝うわ」
掘るのが上手いとみくりが
彼の事を言っていただけの事があって
俺や辰巳君とも
慎司君の掘り方は無駄がない
「ここ、ちょっと根元見えて来たっしょ?
このぶつぶつが全部見えるまで掘る」
そう言って慎司が
地面の筍を指差して
「掘る?」
「そ、掘る、ガンバ」
慎司が言っていた通りに
その周囲を掘り進めて行くと
「そそ、そこまで掘るの目安ねそれ。
掘れたらここを、根元の所にぶっ差して
切り離して、グイってしたら採れるから」
説明が下手だと言っていたが
確かに…と杏寿郎は理解した
足りない分の説明は
隣に居た辰巳君がしてくれて
無事に筍を俺が掘っている間に
みくりはその辺をウロウロしながら
時々足で地面を探って
地面に目印を立てていた
「君のその筍を探す能力は
筍農家?にでもなった方が、
いいんじゃないのか?」
「京都とかみたいな、有名な
筍の産地ならそれも出来るかも
だけど。こんな管理らしい管理も
してない、筍の無名なエリアで。
自分の家の山の竹林の筍じゃ、
そこまで儲けられないよ。
静岡に筍で億を掘り出した男とか
って人が居るらしいけど、
夢物語じゃないの?」
杏寿郎がみくりの言葉に
腕組みをするとうーんと
唸り声を上げて
「筍・ザ・ドリームか……」
「17年掛けたらしいしね?
その静岡の人、たけのこ王って
テレビとかにも出てたらしいね」
「まぁ、お前が家の山に生える
筍を、全部、白子で見つけたら
夢でもねぇかもな」