第52章 春と言えば…? 中編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
「あの匂い、は…ねぇ?」
みくりも気まずそうにしながら
視線を別の方へ泳がせて居て
山の斜面に竹が生えている場所に着くと
既に作業服姿の男性がカゴに幾つか
筍を掘って入れている
「おじさんっ、ただいま!」
「みくりか。遅かったな。
もう大分こっちは掘ったから、
あっち、行くか?小川の方。
っと、君が……」
「煉獄杏寿郎です。初めまして。
今日は早朝より、お邪魔をさせて
頂いております」
杏寿郎がみくりの叔父に挨拶をして
頭を下げた
「ねぇ、おじさん、それよりも
用意してくれた?すぐがいいの
すぐじゃないと意味がないし」
「ああ、用意してる。
だったら、あっちの川の方で
掘った方が良いだろう?」
「じゃあ、俺、先行くしっ」
「あっ、こらっ、走るなっ」
走って行った慎司を追いかけて
辰巳もその後を追いかける
杏寿郎が何かを見つけて
地面から拾い上げる
「よく見たら、サバゲーで使う
玉が大量に落ちてるな」
「ああ、あの2人と
2人の友達のブームらしいよ?
友達の家の山とか、
うちの山でやってるみたい。
それ用のエリア?とか作ってるんだって」
杏寿郎がうっそうと茂った
竹林を見上げる
「豊かな自然の遊び場…か、
筍が掘れて山菜が採れる山が
自分の家の裏にあるんだもんな」
「筍なんざ、毎年何本も食えば
嫌になるがなぁ~みくりが
元々家で一番、筍食うから
出て行ってからは、誰も食わんよ。
何なら、煉獄君のご実家にでも
米ぬか付けて送らせて貰ってもいいけどな」
そうみくりの叔父さんが
杏寿郎に提案をして来て
「筍は迷惑になるかもだから、
電気代食うし、9月になったら
おじさんの米送ってあげてよ。
送料とか出すし、家にも欲しいし
そうだ。だったらさ、山の芋の方がいいよ。
おじさん、山の芋も育ててるんだよ。
あの、ずんぐりむっくりの方の芋ね」
「つくね芋と言え、つくね芋と」
みくりの言葉に
呆れながらおじさんが答えて
「こっちでも、山の芋は
高級品で通ってるからね。
ご実家に送ってくれるんだったら
そっちの方がいいよ、筍食べるまでに
手間かかるし、足が早いもん。着いたよ」
そんな話をしながら歩いている内に
見知ったジャージ姿の2人の
後姿が見えて来た