第52章 春と言えば…? 中編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
「それで決まりッ!いいくね?」
そう慎司が自分の手の
鍬を持ち上げて見せる
「みくり姉、靴履き替えるでしょ?」
そう言って倉庫の方を辰巳が指さして
みくりに問いかけて来る
「ちょっと、靴履き替えて来る」
そう言ってみくりが
倉庫の方へ行くと
不意に3人だけになってしまって
「煉獄サンってさ、
めっちゃモテそうだけど。
みくりちゃんで良かったん?」
「慎司」
さっきまでの穏やかな辰巳からは
想像も付かない様な低い声で
辰巳が慎司を呼んで
その声と表情で何となくにだが
杏寿郎には悟ってしまった部分はあったが
「良かったと言うよりかは。
みくりさんが、俺は良かったんだ。
他に付き合った女性は、居たには
居たが。結婚を考えたのは、
彼女だけだったからな」
「ごめんっ、お待たせ。
ん?何?どうしたの?筍掘りに行こうよ?」
「んじゃ、ちゃっちゃと掘るかっ!」
「慎司は、筍掘るのは上手いけど、
探すの…、ヘタすぎでしょ」
慎司の軽口にそう辰巳が言って
こっちと家の敷地の方へとズンズン
入って行くのを追いかける
こうして 側面から見ても
家の大きさも結構だし
車庫があるが車庫にも車が数台停められる
スペースがあったな
倉庫と言っていたが 家の玄関の方と
裏手にもあるのか… それに畑と
「畑もあるんだな」
「ああ、畑、この敷地の囲いの
中のと、道挟んだ向かいの土地も
うちの畑だよ」
そう言って 車の置いてある方を
みくりが指さして来て
「後、田んぼと田んぼと
…田んぼと田んぼかな?
おじさんの作るお米美味しいよ」
「米農家なのか?」
「米は、家で食べる分と
親戚に配る分と、後は昔からの
付き合いある人に個人で売る分と
それで余ったら、成瀬さんトコに売ってる」
そう慎司が言って
「成瀬さんは、うちの父の米
専売で降ろして欲しいって言ってるみたい。
でも、うちは米農家じゃないから」
そう辰巳が付け足す様に説明する
そう言っている内に
敷地を抜けて
裏に見えていた
山に差し掛かる斜面が見える
「わらびとかゼンマイも生えるし、
栗の木もあっちに何本かあるから
栗も秋になったら採れるよ」
「栗の花くせぇじゃん、俺あれ嫌い」
みくりの言葉に
慎司が嫌そうに顔を顰めた