第51章 春と言えば…? 前編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
テーブルの上には昨日
話をしていた通りに
春キャベツを使った
回鍋肉とキャベツハンバーグに
春キャベツの甘い酢の物
俺が食べたいと彼女にリクエストをした
中華風のコーンスープと
新玉ねぎを丸々使ったホイル焼き
が綺麗に皿に盛りつけられて並んでいて
みくりが冷蔵庫から
赤いラベルの麒麟のクラフトビールである
スプリングバレーを取り出して来て
杏寿郎の方へとその缶を差し出して来たのを
杏寿郎が止めると
「いや、折角だ。みくり。
今夜はよなよなにしないか?」
「え?よなよな?でも…、そっちは
さっき買って来て、
持って帰って来たやつでしょ?」
確かに よなよなエールは
飲んではみたいと言っていた
ビールである事は確かだが
買って来て持って帰って来た物は
冷えてないと思うのだけども
「これは、駅前のコンビニで
買って来たからな。一般的に
ビールと呼ばれる、ラガービールの
飲み頃の適正温度は6~8度。
それに比べて、エールビールの
飲み頃の適正温度は8~13度」
13度と言葉で聞くと
随分と温い 温度に聞こえる
春先に気温が13度なら
真冬からすればそこそこに
温かさを感じる気温だしな 13度
「でも、夏はさキンキンに冷えた
ビールをグイって言うじゃん?」
「だから、今君が冷蔵庫から
出したばかりのそのスプリングバレーも
今は飲み頃じゃないと言う訳だ。
それはそのままテーブルに置いて置いて。
先にこっちを飲まないか?よなよなエール。
丁度いい具合に、ノニックグラスもあるんだ。
エールビールの持ち味の香も楽しめるぞ?」
そう言って テーブルにつくと
今が飲み頃の温度だから
よなよなエールを飲みなさいと
杏寿郎が言わんばかりに
プシュと缶の蓋を開けて
タブを倒しているその時に
フワッとビールの匂いが立ち込めて来る
「開けただけなのに、匂いするよ?」
ビールの缶を開封して匂いなんて
感じた事ないのに
ノニックグラスに注がれていくのを
じっと眺めていると
普通のビールに比べてべっ甲飴の様な
琥珀色の液体が満たして行く
殆ど泡を立てずに注がれた
グラスをみくりの前に置いて
「今すぐ、乾杯と言いたい所だが、
まずは香りを」
飲む前に嗅ぎなさいと言う意味らしいので
その琥珀色をしたビールに
みくりが鼻を近付けた
