第51章 春と言えば…? 前編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
「…後ね…」
寝てるのかと思って居たから
続きの言葉が返って来て
杏寿郎は少しばかり驚いてしまったが
すぅと寝息が間に混じるから
本人は寝てるんだろうな これは
「すぅ…、とっても…、
すぅ、…美味し……い…よ」
よしよしとみくりの頭を
杏寿郎が撫でて
「そうか、それは楽しみだな」
「一緒に…、食べよう…ね……」
「ああ、そうだな、そうしよう。
一緒に、食べよう」
ふふふと嬉しそうな笑みを
みくりが浮かべていたから
その顔を見ていたら
そんな事をあれこれと
考えるのも馬鹿馬鹿しくなってきて
急に眠気を感じてしまって
そのまま みくりの頭に
自分の頭を引っ付けて
杏寿郎が瞼を閉じると
眠りへと落ちて行った
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翌日の
4月14日の 木曜日
夕食を摂りながら
みくりが杏寿郎に
ある事を言って来て
「あのさ、杏寿郎。
明日の金曜日の事、なんだけどね。
ちょっと、買いたい物があってさ。
帰りが遅くなるかも知れないから。
お夕飯適当にして置いてくれないかな?
自分だけ済ましてくれてもいいし」
「先にひとりで、夕食を俺に
済ませて置けと?君は俺にそう
言っているのか?」
みくりの言葉に
納得できないとでも言いたげに
杏寿郎が訴えかけて来て
「いや、杏寿郎がさ。
明日、残業するんだったら。
私の方が、帰るの早いだろうから。
それだったら、夕飯は
作って用意しとくからさ。
そんな顔しないでよ、杏寿郎。
子供じゃないんだし」
「一緒に夕飯位食べたいだろう?」
そう言いながらも
空になった茶わんを
みくりの方に差し出して来るから
炊飯器の中のレンコ鯛で作った
鯛めしをその茶わんによそって返した
「でも、朝も一緒に食べてるじゃん
一緒に食べないの、昼だけでしょ?
ご飯全然一緒に食べてないみたいな
言い方しないでよ。
ずっと一緒にご飯食べてるじゃないの」
テーブルの上には
真鯛を使ったカルパッチョと
鯛のアラ煮と
はまぐりのお吸い物が並んでいて
自分の手にあるのも
レンコ鯛の鯛めしで
「と言うか、何かの祝いか?」
「え?春は桜鯛の季節でしょ?
真鯛が美味しいからね。でもホラ
真鯛はお値段がさ?いい値段するし」