第51章 春と言えば…? 前編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
そのいつも通りの味が
杏寿郎の舌には
今一つ ぼやけた様に感じていた
その 彼のコーヒーの味を
ぼやかしている原因の
みくりの方はと言えば
寝室のベットの上で
クッションを抱えながら
LINEの通話でおじさんと
週末の打ち合わせをしていた
「ねぇ、おじさん。
成瀬さんの言ってたそこって、
ああ、やっぱりそこなんだ。
知ってる知ってる。サイト
見た事あるもん、そこの。
確か、大分前ぇーに
テレビでやってるの見た事ある。
うん、ああ、テレビで見たのは
そこじゃなくて別の方だよ。
うん、そう、そっちの海の方の青い方の。
あそこも行ってみたいなぁって思うけどね」
ガチャと寝室のドアが開いて
杏寿郎が風呂に入るのに
自分の着替えを取りに来た様だった
「うん、だから。それを
用意しておいて欲しいの。
うーん、でも辰巳くんなら手先器用だし
作ってくれると思うんだけど?
うん、だったら自分で、
辰巳くんにLINEしてお願いするから。
じゃあ、さっきの頼んでた方はしてくれる?
別にタダでしろって言わないし。
ひとつはそこに届く様にするつもりだよ?
もうひとつは、そっちに送るからさ
それならいいでしょ?文句ないじゃん」
自分の身内だからなのか
かなり遠慮のない感じだな
「そうそう、いいでしょ?それで。
なら、交渉は成立って事で?
それでいいよね?だってそもそも
そっちが、それ取りにおいでって
言ったんでしょ?だったらいいじゃんか。
ええ?私の我がままなんて、
昔からでしょ?うん、だって甘やかした
おじさんが悪いんだもん…」
そのみくり 話の内容に
無意識に聞き耳立てている自分が居て
着替えを取りに来ただけなのに
「うん、…うん、
そんなの、大袈裟だよ…。
結婚したからって、変わらないって」
さっきまでの口調とは
打って変わった落ち着いた
口調にみくりの口調が変わって
「だから、そんな事、言わないでって。
ああ、うん、それはね、分かってるよ、
私だってね、見てるし…うん。
大丈夫だって、旦那さんになる人は
そんな人じゃないからっ、そう、
そこは大丈夫…、うん、大丈夫だよね?」
スマートフォンを持ったままで
みくりが杏寿郎の方を見て来て
杏寿郎の顔を確認するように見て来ると
ふっとその顔が笑顔に変わった