第51章 春と言えば…? 前編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
「そうそう!合ってるよ」
空になって居た重ねた皿を
みくりが持ってそのまま
キッチンのシンクへと運んで行く
「杏寿郎は、どうする?
もうちょっと飲みたい気分?
それとも…コーヒー…って」
まだテーブルの上に残って居た
洗い物をシンクまで運んで来て
くれた…のはいいけど
シンクの中にそれを置くと
杏寿郎が後ろから
みくりの身体に抱きついて来て
「どうしたの?杏寿郎。
今日は、ひっついてたい気分だとか?」
「……ダメか?」
「ダメな杏寿郎は、ダメかって事?」
自分の身体に引っ付いて居る
杏寿郎に構う様子もなく
みくりが軽くだけ皿をゆすぐと
食洗器の中に並べて行く
「ねぇ、杏寿郎…」
「んー?」
「暇だったら、お湯張り押してよ」
「ん」
みくりの身体に回していた
自分の右手だけを離すと
壁に設置されているスイッチの
お湯張りボタンを杏寿郎が押した
「何それ?ズボラすぎ」
お湯張りをします♪と
機械音が給湯器から聞こえて
「押したんだから、いいだろう?
みくり、君は文句が多いぞ」
「ねぇ、まだ引っ付いてるつもり?
もう、洗い物終わったけど?
杏寿郎は何も飲まないの?
飲みたい物あったら、
自分でしてくれる?」
「してくれないのか?今日は」
ふぅっとみくりが
ため息を付くと 呆れた様にしながら
「私は、何にするか聞いたけど
返事しなかったの、杏寿郎でしょ?」
そう言ってみくりが
自分の身体に纏わりついて居た
杏寿郎の腕を振り解く
みくりが自分のグラスに
冷蔵庫からミント水を注いで
そのグラスを持ってソファへと移動する
ソファの上に座っている
みくりの方を見ると
スマートフォンでLINEをしてる様で
食後のコーヒーを淹れる用意をしながら
杏寿郎がその様子をキッチンから
窺っていると どうにもみくりが
いつになくテンションが高くて
嬉しそうな様子でLINEをしてるから
正直…こっちからすれば
かなり 複雑な気分になってしまって居て
みくりのLINEの相手は
彼女のおじさんだと分かっているのに
自分の彼女の浮気を疑う
男の心理をこんな形で理解するとは…な
「お湯張り出来たらさ、
杏寿郎、お風呂先に入る?」
「ああ。そうする」