第50章 ハルイロ お相手:煉獄先生 ※裏なし
「えっと…、お試し…でも良ければ…ッ」
「そうか。そう言ってくれて良かった」
そう言って満面の笑みを浮かべる
杏寿郎さんはいつもの杏寿郎さんで
後部座席に杏寿郎が
手を伸ばして
先程のフラワーセンターで
購入した袋を手に取ると
中から何かを取り出して
みくりに向けて差し出して来る
「みくりさん、これを君に」
そう言って差し出されたのは
真っ赤なチューリップの花束で
「赤い…、チューリップ」
「君には、淡いピンクが似合うが…。
俺が贈りたいのは、赤い方だったからな」
どうぞと差し出されたその
赤いチューリップの花束を受け取ると
あんな引き留められ方をしたのが
嘘の様にあっさりと解放されてしまった
「じゃあ、また後でLINEする」
「あ、はい、今日はありがとうございました」
こちらに手を振る
杏寿郎に手を振って
その車を見送った
手には杏寿郎から貰った
赤いチューリップの花束があって
家に帰ると玄関まで
凄い勢いで母親と姉の瑞葉が
ニコニコの笑顔でみくりを
出迎えてくれて
「何だ、もう帰ったのか。妹よ」
「まだ、こんな時間よ?
ゆっくりでも良かったのにぃ~。
ねぇ?お父さんには適当に
言って置いてあげたのにねぇ?
ねぇー?瑞葉ちゃん」
どうして私が帰って来たのが
早かったからって 2人が
こんなに残念そうにしてるんだろうか?
「ただいま。そんな…二人が
期待するような事、何も無かったからっ。
それよりも、お母さん。
丁度いい花瓶ある?これ…飾りたいから」
みくりの手に
チューリップの花束があって
「まぁ!あら、ヤダっ。
やるじゃないの~。
もう。みくりちゃんったら」
そう言ってバシバシと
みくりの背中を叩いて来て
「何っ?痛いっ、痛いんだけど?」
「ふーん、真っ赤なチューリップねぇ
海老天杏寿郎が好きそうだわ」
そう つまらなさそうに瑞葉が言って来て
「ふふふふっ。もう、瑞葉ちゃんったら。
可愛いみくりちゃんを
煉獄君に取られちゃってご不満かしら?」
「ちょっと、2人共どう言う事なの?
分かる様に説明してよ」
「だって、みくりちゃん。
その真っ赤なチューリップ12本でしょ?」
ね?と母親がチューリップを指さして来て
その花束の本数を数えてみる