第50章 ハルイロ お相手:煉獄先生 ※裏なし
「すっ、…すいませんっ…」
しっかりとした腕に包まれて
自分の身体に当たってる
その胸板は厚くて
それに 杏寿郎さんの匂いに
包まれてしまって居るこの状況から
早く抜け出さなければと
慌てて体勢を整えて
身体を離そうとすると
「しまった…な」
そう漏らす様に杏寿郎が言って
何がしまったなのだろうかと
不思議に思ってしまって
その顔を思わず見上げてしまった
「不慮の事故だったとは言え…。
この距離が離れてしまうのが
惜しいと思ってしまっている様だ。
このままで居ると、離したくないと
言いたくなってしまいそうだからな。
君を困らせる前に、離れよう」
そう言って 彼の方から
身体を離して来て
離したくないと言いたくなるって
それじゃあ まるでっ
ああ ダメだ ぐるぐると
その言葉が頭の中で回っている
それじゃあ 離れたくないって
言われてるのと同じだ
顔赤いんだろうな 今
頬の所 熱くなっちゃってるから
きっと 今 真っ赤な顔してるんだろうな
「可愛らしいな、みくりさんは」
「可愛いっ!?」
突然可愛らしいと言われて
更に顔が赤くなって熱くなる
「真っ赤になってるな、可愛い」
そう今度は冗談ぽくではなくて
甘く囁く様に言って来て
「あ、あの、杏寿郎…さんッ」
「この辺りは段差が多いからな、
また、さっきみたいに、
転びそうになってもいけないだろう?」
確かに不注意で転びそうになったのは
こっちなんだけども
そう言って差し出して来られた手を
取ってしまっていい物なのかと
少しばかり躊躇してしまって居て
「転びそうになったら、また
さっきみたいに支える事になるが?」
「お、お、お、お願いしますッ」
支えられて密着してしまうよりはと
その差し出された手を取って
円形に整えられた石が埋め込まれている
日本庭園のエリアを進むと
小さな人口の滝と水車小屋があって
その滝の飛沫の当たる辺りに
小さなお地蔵様が居た
「俺も、ここには何度か来ているが
こんな奥まで来たのは初めてだな。
お地蔵様が居るとは思わなかった」
「柄杓があるから、滝もあるし
水かけ地蔵様でしょうか?」
「こんな人気のない場所では、
願を掛けに来る人も少なそうだな。
折角だから、お願い事でもして行くか?」