第50章 ハルイロ お相手:煉獄先生 ※裏なし
「みくりさん」
「はい、何でしょうか?」
呼び止められて
みくりが杏寿郎の方を
見上げると
スッとさっきまでチューリップを
挿していた辺りに何かを差し込まれた
感覚がして
自分の手で確かめる様に
その部分をそっと押さえると
「杏寿郎さんっ、これ…、
もしかして、チューリップですか?」
「ああ。さっきこれを
買った時に貰ったんだ。
さっきのも貴方に似合っていたが、
こっちの方が、良く似合うな。見るか?」
ここには鏡が無いのにと
思って居ると
シャッター音がして
撮られたんだと気が付いた時には
既に撮影されてしまった後で
その画像がLINEに送られて来て
小ぶりながらに
淡いピンクと白の色をした
八重咲のチューリップだった
花が開ききってしまってるから
もう長く持たないからなのだろうが
こうして開ききっていると
バラの花の様にも見える
「チューリップなんだが、
こうして見るとバラの花みたいだな」
「でも、自分からは
全然見えないんですけど…」
「大丈夫だ。とても
良く似合ってるし、
何より可愛い」
どうにもこうにも
煉獄さんの言葉は心臓に悪い…ッ
あの一本桜の時と言い
今と言い
可愛いって
どっちに対して言ってるのかと
勘違いをしてしまいそうだ
それに…凄く自然に…
来月もまた
一緒に出掛ける約束…しちゃってるし
「みくりさん?どうかしたか?
聞こえていなかっただろうか?」
「いえ、聞こえてました…から。
このチューリップも、とても
可愛らしいですね」
「ん?俺が褒めたのは
チューリップの方じゃないんだがな。
伝わりにくかっただろうか?」
ドキッと思わず
その杏寿郎の言葉に胸が跳ねてしまった
じゃあ 可愛いって言ってたのは
「あまり、女性の容姿を
云々と言うのは今は難しい世の中だからな。
特に、今みたいな関係なら…尚更だが。
まぁ、これが恋人同士なら
遠慮する事無く、褒め倒してもいい訳だ」
そう冗談ぽいような口調で言って来て
ますますどこまでが
本気でどこからか冗談なのかと
掴み切れなくなってしまいそうだ
「だったら、杏寿郎さんの
彼女さんは大変そうですね。
そんなに褒められてたら、
心臓が持ちそうにありませんし…」
「その内、慣れるだろうがな。
それに…」