第50章 ハルイロ お相手:煉獄先生 ※裏なし
勿体ないと言いたげにそう
返されてしまって
面食らってしまった
丁度 そこにドリンクや
軽食を売っている売店があって
チューリップのプランターに囲まれた
テーブルセットが等間隔に置かれていた
くずかごも設置されていたから
邪魔になるならとそう声を掛けてみたが
どうやら捨てるつもりではないらしい
「押し花にして、ラミネートして
栞を作ってもいいですし。
ガラスのフレームに飾ってもいいですし。
沢山あるなら、スマホのケースも
パーツを組み合わせて作れますよ」
バラバラになってしまった
チューリップの花びらなんて
只のゴミかと思って居たが
彼女からすれば 材料になるようだった
「色んな春の花を、集めて押し花にして
春を閉じ込めたスマホケースにしても
良いかもしれませんね」
「そうだな。ここの園内には
品種の違う、桜の木もあるから
八重咲の桜なら今なら咲いてるだろう?」
「八重桜っ!そうですね、
ええ。きっと、素敵な
春のスマホケースが作れそうです」
彼女の表情が明るくなったので
内心ちょっと安心した
俺が挿した花を勝手にあの子に
渡してしまって悪い事をしたのではと
気にしていた様子だったからな
「歩いていたら、今日は少し暑い位だな。
どうだ?ソフトクリームでも
食べて行かないか?買って来るから
味の希望とか、あるか?」
「えっと、抹茶でなければ…なんでも」
「苦いから苦手?ハハハッ
中々に、君は可愛らしい人だな。
了解。少し、待っていてくれ」
可愛らしい人…って 凄い
ナチュラルに言われちゃったな
ソフトクリームを買いに行った
杏寿郎を待つ間に
ずっと手に持っている訳にも行かないので
先程の花びらをティッシュに包んで
自分の鞄の中に入れていた
小さなタッパーに入れた
こういう時に潰れない様にと
いつも持ち運んでる今日は要らないかと
思ってたけど 持ってて良かったな
スッと視界の端に白い物が見えて
何?と思って顔を上げると
両手にソフトクリームを持った
杏寿郎がそこに立って居て
その手に持っているソフトクリームから
目が離せなくなっていた
「つい、買ってしまったんだが。
君は、何かと花びらと縁があるだろう?」
そう言って来て差し出して来た
ハルイロのソフトクリームを受け取る
バニラのソフトクリームに
エディブルフラワーが鮮やかだった