第50章 ハルイロ お相手:煉獄先生 ※裏なし
痛たた…
とっさの事だったけど
お尻…思いっきり 打っちゃってるな
「大丈夫?怪我とかしてない?」
自分のお腹の辺りに
顔を埋めたままになっている
その女の子にみくりが声を掛けた
「転んじゃった」
むくりとその身体をその子が起こすと
みくりの身体の上にバラバラになった
チューリップの花びらがあって
『萌ちゃん、大丈夫?
すいません、ありがとうございます。
うちの子が不注意で』
じわっと 目の前のその子の目に
涙が浮かんで来て
ポロポロと涙が零れ落ちて
「わぁーーーん、チューリップの
お花、バラバラなっちゃったぁ~」
バラバラになったチューリップの
花びらをその両手の平に乗せて
その子が泣き出してしまって
みくりが自分の頭にあった
ピンクのチューリップに手を伸ばして
引き抜くと その子の頭にそれを挿した
「じゃあ、代わりに
お姉ちゃんのやつあげるね」
「え?でも…、いいの?
お姉ちゃんの、チューリップ
それじゃあ、なくなっちゃうよ?」
「だったら。それと交換」
その子の手の平にあった
バラバラになった 赤いチューリップの花びらを
みくりが指さして
「でも、これ、バラバラだよ?
これと交換でいいの?お姉ちゃん」
「うん、お姉ちゃんそれが
欲しかったから、それと交換してくれる?」
おかしいと思いながら
女の子はみくりの手にどうぞと
その花びらを乗せてくれて
両親が頭を何度も下げて来たので
大丈夫ですからと言って
噴水を見たい気持ちはあったが
気まずくなってその場を後にした
そのまま しばらく園内を歩いて
噴水の広場から離れた頃に
「あの、…すいませんでした」
「いや、それは俺に
謝って貰う必要はないが…。
打った場所は大丈夫なのか?」
杏寿郎の言葉にちょっとジンジンと
傷むお尻の辺りにみくりが
自分の手を当てると
「痣ぐらいには、なってるかも
知れませんけど…ッ、大丈夫です」
「それは?どうするつもりなんだ?」
みくりの手の上の
赤いチューリップの花びらを
どうするのかと杏寿郎が聞いて来て
「チューリップは、押し花にすると
綺麗に残せますし。押し花にする時は
花びらだけの方が綺麗ですから」
「捨てない…のか?」
「捨てちゃうんですか?」