第50章 ハルイロ お相手:煉獄先生 ※裏なし
一枚の畳表に対して使われている
い草の量による違いも
こうして実物を見れば
素人目にも違いが見て取る事が出来て
「ふむ。こうして同じ国産の
畳表でも、使われているい草の
量でこうも目の細かさや詰まり具合が
全然違う物なのだな。その部屋の
用途によって使い分けるらしいが」
「畳を見る目が、
変わってしまいそうですね」
「日本人でありながらに、知らない事も
意外と多い物なんだな」
小さなミュージアムであったが
そのパネルのひとつひとつに
目を通していたせいか
外に出るとそれなりに
時間が経っていた様だった
畳ミュージアムのすぐ近くには
レストラン棟とその向こう側には季節の
花壇に彩られた大きな噴水があって
毎時間 00分丁度から5分間は
普段の噴水よりも大きな水が噴き出すから
その時間の辺りになると自然に
噴水のある広場には子供達が集まって来る
杏寿郎が自分の腕と時計で時間を確認すると
丁度11時前で
広場のメインの噴水のある池と
その周囲を取り囲むエリアは
タイルの色が周囲とは区別されていて
直接地面から 水が玉になって
ランダムのあちこちにそのエリア内で
吹き出すようになっていて
その水の玉を追いかけて子供たちが
歓声を上げていた
「でも、そろそろあそこも
危険なエリアですけども…ね」
毎時00分からは
メインの噴水もそうなのだが
その周囲の普段は水の玉を
出してるだけエリアからも
人の背丈ほどの高さまで
水が柱になる勢いで噴き出すから
『早くっ、早くッ!!こっちこっちぃ』
大きな声で後ろから追いかけている
両親に呼び掛けながら
こちらに前を見ずに走って来る
小さな5歳ぐらいの女の子が居て
「待って。ママ走れないから。
萌ちゃん、ゆっくり。転んじゃうよ~」
妊娠中なのかその子の母親らしい
人物はそれなりに目立つお腹を抱えつつ
その女の子に注意を促していて
『ママはゆっくりでいいよ~。
萌、先に行ってるから~』
と後ろに居る母親に声を掛けつつ
後ろを振り向いたままで
こちらに向かって走って来て居て
ツンとタイルの段差に足を取られて
バランスを崩したのが見えて
思わず近くに居た物だったから
その子が地面に激突する前に
その間に入ってしまった
そのまま その子が飛び込んで来た勢いで
バランスを崩して 後方に尻もちをついた