第50章 ハルイロ お相手:煉獄先生 ※裏なし
「…ぇ、あ…、その
私からは、見えないんですけど…」
「そこにあるから、
そう見えるだけ…。かも知れないが」
みくりの髪を彩る色は
桜の時期よりもひとつ
進んだ春を知らせる ハルイロで
俺にそう言われて
困ったような表情をしながら染める
その桜色の頬もまた
俺の心に 春を運ぶ 春の色で
ハルイロ…
少し早い 春を告げる
アーモンドの花が運んでくれたこの恋は
淡い ピンクが良く似合う
ハルイロ
春は 出会いと別れの季節…と言うが
春は
恋の季節…になりそうな予感
ハルイロの恋を・・・始めてみませんか?
「大丈夫だ。みくりさん
俺の目には見えているからな」
あれ?今…下の名前…だった
あまりにも自然に呼ばれたから
違和感は感じなかったけど
「あ、あの。煉獄さんッ。
…今、私の名前っ、下の名前で
呼びませんでしたか?その…ッ
聞き間違い…じゃなかったら」
「俺は、煉獄さんではなくて、
杏寿郎だが?」
聞き間違いじゃなかったし
こっちにも下の名前で呼んで欲しいと
そう言われてしまって
「杏…寿郎、さん…」
「良く出来ました」
そう言ってニコッと笑みを浮かべて
よしよしと子供の頭でも撫でる様に
撫でられてしまって
少しずつでいい
きっとまだ 今は君の中でそれはまだ
不確かな感情なのだろうから
君の心の中が ハルイロで染まり切るまで
少しずつ
そう 一歩ずつ 進んで行けばいい
「もう!私は22ですよ!
子供扱いしないで下さいっ。
ちゃんと、成人してますからぁ」
「むっ。そうか、君は俺に
ひとり女性として扱って欲しいと?
そう解釈してもいいんだな?
みくりさん。君が
それでいいと言うなら、遠慮はしないが?」
そう言っていつもは
爽やかな煉獄さんが
今まで見た事も無い様な
色気のある視線を向けて来て
「ええっ、やっ。…あの、
そんなんじゃ…ない…ですっ。
遠慮…、お願い…します」
おたおたとリアクションに
困っているみくりの姿を見るのは
それはそれで面白いが
まぁ まずは
異性だと意識して貰う事から…だな
「じゃあ、遠慮が要らなくなったら
いつでも言ってくれ。その時は
勿論、遠慮はしないがな?」