第50章 ハルイロ お相手:煉獄先生 ※裏なし
「(宇髄?何を
言って…そんなんじゃっ)」
ヒラヒラと手を振りながら
どこかへ紛れてしまって
目立つ容姿をしているのに
ああして紛れるとどこにいるのか
分からない宇髄はそんな不思議な
空気を纏った男ではあるが
「見て、行かれます…か?」
「ああ、この間のネクタイピンは
さっきの宇髄もだったが、
俺に似合うと他の同僚にも褒められたので。
その…、他にも…」
その時風に乗ってふんわりと香った
桜の花の香り
桜の木からじゃなくて
自分の前のこの女性からだ
「桜の香りがする…」
「あっ、苦手でしたか?すいませんっ。
あの桜の香って癖があるし、
苦手な人居られるし。春の限定の
桜の香りのするヘアオイルなんですけど」
「アーモンドの花の次は…、
桜の花…か。貴方は余程花に好かれる様だ」
「今日は、自分で付けた桜の花ですよ」
そう言ってみくりが
ふんわりと笑いながら
自分の耳の桜の花のピアスを見せて来て
「いえ、こちらではなくて…」
スッと杏寿郎が手を伸ばして来て
羽織っていたパーカーに
引っかかっていた桜の花びらを
摘まみ上げてみくりに見せて来て
「今度は正真正銘の桜の花ですが」
自分の指で摘まんでいる
その一枚の花びらに杏寿郎が
唇を寄せると
「花に愛されておいでで?」
「え?いえ、そんな事は…無いかと。
でしたら、煉獄さんは…海老天に
愛されておられるんですか?」
「海老天…?」
杏寿郎が顔を顰めながら聞き返して来て
「ええ。海老天」
みくりがそう言いながら
杏寿郎の髪の毛をちらちらと見ながら
そう杏寿郎の問いに返して来て
その表情があまりにも真剣だったので
思わず 噴き出して笑ってしまった
「ぶっ、ハハハハッ。
小野寺さん、貴方はとても
ユニークな人の様だ、ん?海老天…」
商品の中に海老天の付いた
ネクタイピンを見つけて
「ああ。そうなんです。
海老天の、ネクタイピンありますよ」
「海老天か、面白そうだ。
これを付けて、教壇に立てば
レンキョから、海老天先生に
あだ名がなってしまいそうだが。
これを、頂いても?ああ、ついでに
こちらの物も頂いていいだろうか」
そう言って 海老天のネクタイピンの
隣にあった赤い円形のネクタイピンも
一緒にしてみくりに差し出して来る