第50章 ハルイロ お相手:煉獄先生 ※裏なし
しばらく その場でぼんやりと
して固まってしまって居たが
夢でも見てたのかとも
思わなくもないけど
自分の手の平の上にある花びらと
片側だけのピアスを見ていると
現実…だったんだなと
「っと帰り支度しないと…っ、
これ…持って帰ろ」
持っていたポケットティッシュに
そのアーモンドの花を包むと
商品を入れる小袋に入れて
鞄の中の荷物の一番上に
潰れない様にして納めた
商品は完売に近かったので
支度はすぐに済んだ
芝生の広場を抜けて
海老天さんが言っていた
アーモンドの花を見て帰る事にした
そんなに背の高くないその木は
桜と言うよりも 桃に近い様な
木の枝に直接 桜の花にそっくりな
淡いピンク色の花を咲かせていた
自分のスマホでその花の部分だけを
アップにして撮影すると
LINEで友人と姉にその画像を送った
”この花何の花か知ってる?”
とその画像の下に添えると
もう桜咲いてたの?と返事が来たので
アーモンドの花なんだよっと送って置いた
知らなかったや
アーモンドは知ってるけど
アーモンドの花が桜みたいなんだって
それから 家に戻って
手洗いとうがいをして自分の部屋に戻ると
鞄の中から そのアーモンドの花を取り出して
ドライフラワー用のシリカゲルの中に
その花びらを軽く埋めて置いた
シリカゲルのドライフラワーなら
その綺麗なピンク色をそのままに残せるから
みくりが部屋の壁のカレンダーを見ると
次の日曜日…つまりは 4月の3日に
赤い丸がついて居て その数字の下の
予定を書き込むスペースには
桜塚フリマと書いてあって
そう その日は桜塚公園で桜まつりの
フリーマーケットがあるからって
申し込みしてたんだけど
まさか今日 こんなに売れるとは
嬉しい悲鳴を上げてしまいそうではあるが
「今から、作らないと…な、商品」
まだ夕方だから 時間もあるし
ガラッと作業用のテーブルの引き出しを開くと
濃淡で重ねた 摘まみ細工の桜の花が
幾つかあり 次のフリマは桜まつりだから
桜のアクセサリーを用意するつもりで
桜の花にするまではしていた物だ
後はレジンでも 桜をモチーフにしたのを
その日までに作れるだけ…作りたい…な
それから 一週間の間はそれこそ
毎日作業に没頭していた