第50章 ハルイロ お相手:煉獄先生 ※裏なし
ツンと髪が引っ張られる様な
そんな感覚を感じたと思って居たら
みくりの髪の毛に引っ付いていた
ある物を杏寿郎が手に取って
反対側の手の平に乗せて
こちら側へと見せる様にして来て
その淡いピンク色の花びらは
良く見知った花の花びらに良く似ている
「桜…の、花びら?でも、まだ…」
「この花びらは一見すると、
桜の花びらに見えるが…まだ
今は、一般的に桜と呼ばれている
ソメイヨシノは咲き初めだ」
そうは言って来るが
その手の平の上にある
私の髪の毛に引っ付いていた
花びらは桜ではないのだと
目の前の海老天頭の人が言って来て
「じゃあ、その花びらは…」
「貴方も必ず、名前を知っている
ある物の花なのだが、何だと思いますか?」
「今年は、梅の開花も遅かったから
でも梅にしては色も花びらの形も
桜にそっくり…」
もっと良く見たいと言いたげにして
無意識にその手に自分の手を置いて
しげしげと花びらを見つめてしまって居て
ハッと自分がしている行動に
気が付いて慌ててその手の上に置いていた
自分の手を離した
「すっ、すいません。目が…じゃなかった
視力が悪い物でして…っ、つい」
スッと杏寿郎が
反対の手をみくりの
右手に添えて手の平を上にすると
自分の持っているその桜に良く似た花びらを
みくりの手の平の上に乗せて来て
ジッとその花びらに目を近付けて
凝視していると 笑い声が聞こえて来て
海老天さんに笑われているのだと気が付いた
「そろそろ、眼鏡かコンタクトの
ご購入を検討された方が良さそうだ」
「絶対それを私は、
知ってるんです…よね?」
「その花びらの正体は、
アーモンドの花ですよ。丁度
この芝生の広場の先に数本、
アーモンドの木がありましたから。
アーモンドの花は丁度、3月の中旬から
下旬が見頃ですので。中々に可愛らしい
可憐な花をつける木だ」
そう言って芝生の広場の向こう側の
アーモンドの木が植えてある辺りを
杏寿郎が指さして来て
「アーモンド…の花…、って
桜みたいなんですか?見た事ないです」
「なら帰りにでも、入口付近にあるから。
ご覧になられるといい。それでは。
来月に、こちらで」
そう言って杏寿郎がみくりに
頭を下げて
そのまま去って行ってしまった
凄い 勢いのある人だったな…