第50章 ハルイロ お相手:煉獄先生 ※裏なし
「ああ。それまでは今日のコレが
あるからな。問題ない。だから、
お願いしてもいいだろうか?」
そう言ってニカッと海老天頭の人が
白い歯を見せて満面の笑顔になって
今はまだ早春…だけど
ここだけ真夏みたいに感じてしまう
「はい、でしたらこちらの片方の
ピアス、その時までお預り致します」
「して、お幾らだろうか?」
「あ、はいっ。700円です」
「1000円でも構わないだろうか?」
「おつり、ありますので
大丈夫です」
みくりが杏寿郎から差し出された
1000円札と引き換えに
コインケースに入れていた
300円を取り出して
杏寿郎の手の上にお釣りの硬貨を置いた
触れようと思った訳じゃないが
指先がその手の平の不意に触れてしまって
「すっ、すいませんっ」
みくりが慌てて手を引っ込めると
チャリン…と音を立てて
お釣りの100円玉が一枚
地面に落ちてしまって
杏寿郎がそれを拾い上げようとしたのを
みくりが制止をして
「いいんです。私が拾います。
落としてしまったのは、私のせいですので」
そのまま 地面を転がった100円玉を
みくりが拾い上げて 杏寿郎の方へ
その100円玉を差し出しながら
地面に向けていた視線を上げると
「すいません、どうぞ」
「ああ、すいません。
お手間を掛けてしまったようだ」
そう言って 私の手から
100円玉を取りながら
海老天頭の人がお礼を言って来て
「すいません、私の所為で」
「謝る程の事でもないと思うが…ん?」
ハタっと視線がぶつかった
そして 気が付いた
物凄い 至近距離に
海老天頭の人の顔があって
その真夏の太陽の様な双眸に
驚いた顔をした私の顔が映って居て
ドキドキと自分の胸が
騒がしくなるのを感じていた
海老天っさん… 至近距離で
ちゃんと顔…今初めて見たけど…ッ
派手でインパクトのある
髪の毛ばっかり見てて
ちゃんと顔…見てなかったけど
男前… 過ぎやしませんか?
じっとその顔を見つめたままで
目が逸らせないで居たら
にこっとその顔が穏やかな笑顔に変わって
「こんな所に、一足先に
少し早い春が来ている様だ」
スッと杏寿郎がみくりの方へと
手を伸ばして来て
「失礼」
そう言われたかと思うと
みくりの頭の髪に触れて来る