第50章 ハルイロ お相手:煉獄先生 ※裏なし
自分が1年生の入学式から
初めて3年間通して受け持った生徒達だ
卒業式では 毎年
自分が担任して居なくても
目頭が熱くなる物だったが
自分が担任した生徒達の巣立ちは
中々に感じる物が多かった
四月からは進学にしろ
就職にしろ この一条市を
離れて行く生徒がほとんどだ
こうして 皆と顔を合わせる事も
卒業式が最後だと思って居たが
学級委員長の成瀬と
副委員長の里見が
他の生徒達と相談して
いつもであるなら 謝恩会があるのだが
このご時世で 飲食の伴う
謝恩会が取りやめになってしまっていたから
それに代わる物をと
今日のこれを計画してくれた
と言っても これと言ったが
実は詳細は俺も知らされてなくて
一体 ここで何をするつもりなのだろうか?
「なぁ、成瀬、里見。
そろそろ俺に、今日は何をするのか
教えてくれてもいいんじゃないのか?」
「先生。せっかちすぎでしょ。
まだ、来てない奴いるし、
あ、里見。俺ここで遅れて来る奴等
誘導するから、先に来てるやつと
先生、案内頼む」
そう成瀬が里見に
両手を合わせながら依頼すると
「じゃあ、先生」
そう言って里見が右側に
それから左側に桃井が立って
「先生は、
私と、さとみんで案内するね?」
2人の元女生徒に挟まれ
両手に花の状態で
その奥に更に進んだ先にある
木工クラフト館と言う
木工細工の看板の建物に着いた
既に入口の中の作品例を展示してある
場所にも数人の生徒の姿があって
その中の一人の男子生徒が
杏寿郎に気が付いて近づいて来る
「あ、レンキョだ。
レンキョセンセ、おはよ~」
「うむ。渡辺。相変わらずだな。
まあ、数日だしな。だが、卒業して
生徒でなくなったが、
俺が目上になるのだから。渡辺。
社会に出る以上は、自分よりも先輩や
目上に当たる人への
挨拶はおはようございますだ」
「はぁーい、センセ。
おはようございまぁーす」
そう渡辺がふわふわしたような
気の抜けた様な声で朝の挨拶をして来る
「そう言えば、渡辺は
実家の酒蔵を継ぐ修行に入るんだったな」
「そそ、俺だけの酒、作るのが
俺の目標だし~。出来たら
俺の酒、飲んでよセンセ」
そう語る 夢こそ大きいが
気の抜けた喋り方の所為で
真剣なのかふざけてるのか…分からない
マイペースだが器用な生徒だった…な