第50章 ハルイロ お相手:煉獄先生 ※裏なし
3月の最後の日曜日
その日の森林公園の駐車場は
多くの車で賑わっていた
いつもは少年サッカーの練習に
使っているグランドが
臨時の駐車場になっていた
それにいつもは 案内をしてくれる
ガードマンもいないのに
この公園にはランニングコースがあるから
週末には時折走りに来たりした事があるが
今日は何か催し物があるのか
アウトドアで良く見かける
キャリーに荷物を乗せた人をやたらと見るな
「今日は何か、あるんでしょうか?」
歩行者の道案内をしていた
ガードマンに杏寿郎が声を掛けると
そのガードマンが 掲示板を指差して
「今日は、月に一度の、
一条畳の市の開催日ですから。
この時間から、車が一杯で満車ですね」
公園の入口に近い部分のエリアは
キッチンカーが数台並んでいて
その奥に続くメインの通りには
通りの両サイドに新しい畳が
綺麗に等間隔に並んでいるのが見えて
どうやら 一条市の特産である
畳と掛けた フリーマーケットなのだと
既に商品を並べ始めている人の姿を見て
杏寿郎は気が付いた
そのメインの通りの奥に
奥の第二駐車場側からの
入口と広場があり
そこには既に数人の今年の卒業生達が
集まって居て 俺の姿を見つけて
手を振って来る
『成瀬。レンキョ来たよ~』
地面に座り込んでスマホを弄って居た
元委員長の成瀬に 俺に気付いた
里見が声を掛けると
成瀬が立ち上がってこちらへ向き直って
「すいませんっ、先生。
春休み中に、お時間頂いて。
まだ、来てない奴にLINEしてました」
杏寿郎が自分の腕の時計を確認すると
集合時間と成瀬から指定された時刻には
まだ15分ほど猶予があった
「ああ。成瀬。
まだ集合時刻になってないんだ。
どうせ、斎藤や、中本は遅れるだろうしな」
そう言って杏寿郎が目を伏せて
フッと口の端を曲げると
成瀬の隣にいた里見と河野が
言えると杏寿郎の言葉に同意した
お調子者のムードメーカーな
斎藤と中本だが どうにも
時間には少々ルーズだったからな
これから 進学するのは良いが
大学で講義に遅れたりしないか心配だった
「そう言えば、成瀬。
今日は、クラスの中のどれぐらいが
集まる予定なんだ?」
成瀬が自分の指を曲げて
指折り数え始めた隣で里見が
「先生、24人ほど…です」
「卒業式以来だな!!楽しみだ」