第12章 銀の流れる川 前編 お相手:竈門炭治郎
まあ 生贄みたいなもんだから
バリバリ 頭から食べられるか
それこそ
そっちに食べられるかだろうけどもさ
「ああ、楽しみだなぁ、銀の川が光るのが……」
銀の川が…光る?
一体 それは…
「いいなぁ、お前の所はよ、
俺の母ちゃんはもうできねぇよ」
こいつ等は一体何を言ってるんだろ?
「どうせ死ぬんだし、教えてやろうか?」
何も聞いてないのに教えてくれるのか
と言っても 私は布を噛まされているので
何も話しは出来ないが
「どうして、
この村が…銀の川の村と呼ばれているのか」
銀の鉱山でもないのに
銀の川の村と呼ばれる所以を
冥途の土産に教えてくれるのか
「面なしの嫁が
子供を産むと、川が銀色に光るのさ」
「その川の水を、
女が飲むと……子供が出来るんだよ」
「肉の塊みたいな、子供だがな。
その中には……銀塊が入ってんだ」
「お陰で俺達は、仕事もなぁーんもしなくても、
娘だけ作ってらいいて、もんだ。ははははっ」
「おいおい、せっかくの若い娘だぞ?」
「ああ、そうだったな」
みくりはその時感じていた
もうその面なしは…そこに居ると
男達がみくりに手を伸ばした
その時その手がゴロリと地面に転げた
「ひぃっ!手が、俺のっ、手がぁあああっ!!」
手首から血を噴き出しながら
男がパニックになって居る
その頃
炭治郎は森の中で迷っていた
さっきまで聞こえていた
鈴の音ももうしない
しまった……
付けられてると気が付かれたのか
ぐるぐると回って
迷わされてしまっていたようだ
「この匂い、血の匂いだ…」
風に乗ってふわりと
鉄の様な生臭い血の匂いがして来た
「こっちだ……」
血の匂いがして来た方向に
炭治郎が向き直る
ざわざわと全身の毛穴が
逆立つような感覚を覚えていた
みくりさん…どうか 無事で
みくりさんは 丸腰だし
早く追いつかないと
みくりさんに何かあってからでは遅いのだ
炭治郎が
血の匂いを辿ってたどり着いた先には
みくりさんが乗せられていた輿があり
その輿を運んでいた
男達だった物があった
もう人の形も保っていない
肉片と肉塊だった
「うっ、酷い……な」
あまりの惨い状況に
炭治郎は思わず 目を背けてしまった