第12章 銀の流れる川 前編 お相手:竈門炭治郎
チャプン…
滝壺に足を浸ける
冷たい……な 滝の水は
滝行なら 修行してた時にしていたから
これくらいなら まだ行けるな
禊をして 滝から出ると
差し出された白装束に着替える
そして赤い紐で手を後ろ手に縛られて
顔も白い布で隠される
それも丁寧な事に
その白い布の下で
赤い布を猿轡のように咥えさせられて
大声を出したりしないように…かな?
これがいつもしている事なのかと
炭治郎がその準備の儀式をしているのを
覗き見ながら隣の男に確認した
「これが面なしの、輿入れの儀式だ……」
その流れを知っているのなら
この人もあそこにいる人の役目を
したことがあると言う事か…
そして そのまま
簡単な輿に乗せられて
その四方から伸びる棒を
それぞれ1人の男が担いで
チリーン チリーンと
鈴を鳴らしながら
村の北から森の中へ入って行く
「俺は、行きます。あなたは自分の
娘さんについていてあげて下さいっ!」
その鈴の音を追うようにして
炭治郎も森の中へ入って行った
目隠しされてるし
その上腕も拘束されている
日輪刀は勿論ないし
これ 自分 引き受けたけど
大丈夫かなぁと
ここに来て心配になってしまった
炭治郎君が
付いて来て くれてるはずだから
それを 信じるしかないんだけど
チリーン チリーン
チリーン チリーン チリーン
鈴の音をさせながら
どこかへ向かっている様だった
そして 四半刻ほどしただろうか
私は輿ごと降ろされたと思ったら
「悪く…思うなよ?
これもお前のおとっさんの為だ」
「逆らえば、
お前のおとっさんが、殺させるからな」
それまで喋らなかった
男たちが話しかけて来て
「お前は、
誰なんだ?名雪ちゃんじゃねぇし」
「コイツは、
どこの誰か知らんが、名雪より別嬪だしな……」
「名雪じゃねぇんだったら……、な?」
あ これ ダメな流れじゃないかな?
「どうせ、バケモンに犯されて
孕まされるんだ、最後にいい思いしてけよ?」
いやいや
いい思いにはならんでしょ?
てか その面なしに犯されるのも
孕まされるのも
村の人間は知ってるって事?