第12章 銀の流れる川 前編 お相手:竈門炭治郎
「あ、危ないですよ!みくりさんっ、
危険すぎます」
「でも。この人には助けて貰ったし……
この人の娘さんも、助けたいし…
それに、1年前に行方不明になってる
この村の長の娘さんも……気になるし……」
確かに みくりさんの言いたい事は分かるけど
それを俺達は調べに来たんだけども
でも……
「俺なんかを信頼していいんですか?」
「炭治郎君なら、信頼できるよ。
目を見たらわかるもの」
それは 俺に命を預けると言う事で
みくりさんは単身で その神様なのか
鬼なのかわからない ”面なし”の所へ
嫁入りをすると言う事だ
その男の娘は黒髪だったので
みくりは染粉で自分の亜麻色の髪を染めた
黒い髪になって
炭治郎にどうかと尋ねて来る
みくりさんは 美人なので
正直 普段の亜麻色の髪も綺麗だが
黒髪にしても 綺麗だった
「黒髪も、いいと思わない?」
「みくりさんは、どんな髪の色でも素敵ですよ」
「もう、炭治郎君たら、褒め上手なんだから」
そして 夕刻になる頃
布で顔を隠した 男が数名
迎えに来て
黒い髪のみくりを見て
おかしいと思ているはずなのに
こんな大きくもない集落なのだ
顔も体格も同じではない
みくりを見て
この家の娘でないことは
気付いているだろうに
いや 喋らないのか
気付いていても
この儀式の間は喋れない
そんなしきたりがあるのかもしれない
布で顔も隠してるのだ
ここで見た事
知った事
聞いた事は全て
無かったことになるのかもしれない
何も言わない男達に
周囲を取り囲まれて
そのまま歩くと
村の外れにある 小さな滝に来た
この村を流れる川と繋がっているが
この滝からは変な匂いがしない
着物を脱げと
何も言わずに 合図をされて
滝の方を指さされた
禊をしろと…言う事なのだろう
それは そうだ
私は今から 面なしの所へ
輿入れするのだから
自分の着物の帯を解いて
みくりが着ていた着物と
襦袢を脱ぎ捨てる
白い 白い肌が
露わになる
着物の下に普段は隠されている
女性の肢体に
炭治郎がゴクリと固唾を飲んだ
綺麗だ…
いや 見てはいけないっ
しまったぁーー 見てしまった
それもしっかりと……