第49章 3度目のホワイトデーは 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
自分の後ろに杏寿郎が居るから
私からはその表情は見えないけど…
きっと期待しながらも
ニヤニヤしてるんじゃないかって
「さっき、君から何度も。
好きだと言われたのは、
俺の聞き間違いでもあるまい?」
びくっと杏寿郎の言葉に
みくりが反応する
「言ってないッ…、
言ってないッかなぁ~?
きっと、聞き間違い…じゃないかな?」
むにっ っと後ろから
両方の頬っぺたを摘ままれて
そのまま引っ張られる
「ったく、素直じゃないな。君は。
まぁ、普段素直じゃないから、
その分。素直になってくれると、
嬉しいと感じるんだろうがな」
「ふぁなひてっ、ふひ、ふぁなひて」
(放してっ、口、放して)
「何を言ってるのか、分からんな」
「ひょうひゅひょうが、
ふぃふゃんひひゃひょ」
(杏寿郎がしたんだよ)
すっとその頬を摘まんでいた手が
頬から離れて 解放される
湯船の中で杏寿郎が
付いて居た手の上に
みくりが自分の手を重ねて
「で、でも、今日は…自分の
思ってる事…、伝えられてると
そう、思う……んだけど?」
「そうだな。だが…俺が
それを、欲張りたいだけだがな。
もっと、聞きたいんだが?みくり」
空いている方の手を
後ろから回されてそのまま
ギュッと片腕で抱きしめられて
甘い空気が流れてるのは
気のせいじゃないはず
「杏寿郎。
…今日はその、ありがとうね?
私が好きそうな事とか、場所とか
準備とか…さ、してくれて。
嬉しかったの。
それに、私を選んでくれた事とかもね。
ホラ、変な言い方だけどさ。
杏寿郎だったら、
選び放題だったわけじゃん?」
「言って欲しいとは言ったが、
そんな所から感謝されるのか?俺は。
その言い方だと、俺が君には
勿体ない様な言い方だが?
それに本を正せば…、
そんなつもり気のない
君とそうなりたいと言い出したのは
紛れもない俺の方だからな。
だから、感謝するのは俺の方だろう?」
浴槽の中でみくりが小さく
蹲って三角座りになると
ブクブクとお湯の中に自分の耳が
半分浸かる位に顔を沈めて
「あの時が…、
そうだった…だけだよ。
今は、そうじゃない…から。
それに、杏寿郎が、居てくれたら。
もう、それでいい…の」
「君の世界その物が、俺だけで
いいとでも言われてる気分だな」