第49章 3度目のホワイトデーは 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
このホテルの従業員らしき女性が
こちらに向かって
ベージュのブランケットを差し出して来て
『少々、気温も下がってまいりましたし。
こちら、レンタルの方、無料の
サービスですので。お使い下さい』
どうぞと笑顔で差し出されて
どうもとみくりがそれを受け取る
「貸して貰っちゃった…、使う?」
みくりが杏寿郎に
受け取ったブランケットを見せると
「まあ、受け取っといて
使わないのも…おかしいもんね」
そう言いながら ブランケットを広げて
そんなに大きくない普通のサイズの
ブランケットだから
2人で使うには当然 ピッタリと
身体を寄せないと入れない訳で
「随分と、心憎い様な…そんな
サービスをしてくれるんだな、ここは」
「いや、でも、ホラ。あそこの
女性ばっかりのグループにも
渡してるから、普通にサービスだと
そう思うんだけど。あ。ホラあれじゃない」
そう言って みくりが
立ててあった看板を指さして
杏寿郎に見る様に促して来て
「ああ。足湯のオープン記念の
キャンペーンか…、成程」
見えにくかったのか
杏寿郎がみくりの肩を掴んで
背中に自分の身体を預けながら
身を乗り出して来たから
って看板もう 見たよね?
左肩に添えてある手…そのままなんだけど
「散々俺と、そうしてるのに、
今更、肩を抱かれた位で恥ずかしいのか?
みくり、君は恥ずかしがり屋さんだな」
「そっ、そうは言っても…ここは」
「嫌か?」
「………」
杏寿郎の質問に
みくりからの返事はない
「ダメ…だろうか?」
「………う…ぅ、…じゃない」
聞き取れなかったのか
杏寿郎が顔を近付けて来て
「みくり?」
「んっ、杏寿郎…、顔、近すぎ…ッ」
「いや、俺は、君が言った言葉が
聞き取れなかったから、
顔を近付けたんじゃなくて、
耳を寄せただけだが?」
「何っ、一休さんみたいな事を
言ってるのよ?上手い事言えとか
そんな事…、言ってない…し?
ああん、もう、だからっ、…別に
嫌じゃ…ないって、言っただけっ」
相変わらず みくりは
ツンデレ…と言うやつだよなぁと
その返答を聞きながらぼんやりと考えて居て
ギュッと左の肩を掴んでいた手に
力を入れると何するの?とでも
言いたげな顔でみくりが見て来て