第12章 銀の流れる川 前編 お相手:竈門炭治郎
炭治郎が鬼殺隊について
説明をしようとしたのを
みくりが遮る様に しかしそれでいて
冷静に落ち着き払った口調で言った
「娘を……助けて欲しい……頼むっ!」
そう言ってその男は
床に額を付けるくらいに
俺達に頭を下げて来た
「顔を上げてください、
俺達はその為にここに来ました」
「助けて……くれるのか?」
「ええ、それが私たちの仕事です」
そう言って 貸してと言いたげに
みくりが手を差し出したので
男が床に落ちていた日輪刀を
格子の間から差し入れた
「離れて…頂いても?」
みくりが日輪刀を抜いて構える
その刀身を見て
炭治郎がハッとした
みくりさんは 雷の呼吸を使うんだ
真っ白の刀身に稲妻が走っている
でも みくりさんは刀を抜いてる
使うのはきっと 霹靂一閃ではない
俺は 善逸の霹靂一閃しか知らないから
雷の呼吸の他の型は初めて見る
シィイイイイイイッー
雷の呼吸の音
「雷の呼吸 弐の型 稲魂っ!」
ドォオオオンッと雷鳴が轟く
稲妻が走るような
そんな軌道を描く独特の剣撃なのに
あの一息で 5連撃…… 凄いっ
木で出来た座敷牢の格子は
綺麗に断たれていて
「音が出るから、仕方ないけど、
誰か来る前に早く出よ?炭治郎君」
「ああ、はいっ!そうですね」
そのまま座敷牢を出て
その男の後をついて
行くと一軒の空き家に着いた
「ここは?」
「今は使っていない家だ、
俺の家は……駄目なんだ」
「あの、この村の話を…少しお伺いしても?」
炭治郎がそう切り出した
「面なし……」
「めんなし?」
「この村の女は、初潮を迎えて15になれば…
面なしの嫁になるのがしきたりだ」
「だったら、この村の子供が産める人が
……いなくなるんじゃ?」
「面なしの嫁になるのは、毎回、
……この村の女じゃなくてもいい」
「だったら、その嫁になる人は……どこから?」
炭治郎の質問への答えは無かった
それは不問にしろと言う事か
「私が聞きたいのは、そのめんなしってやつの
言いなりになってるのは何でなの?」
「この村が何と、呼ばれているか知っているか?」
銀の川の流れる村
でも この村には
「銀鉱山なんて、無いんでしょ?」
「ああ、鉱山なんてない…」