第48章 3度目のホワイトデーは 前編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
海はまだオフシーズンだから
ショップの店員さんも退屈そうだし
「すいません、予約していた煉獄ですが」
『煉獄様ですね、お待ちしておりました。
どうぞ、中、お入り下さい。
今、お飲み物を用意しますから』
そう言って小さな紙のメニューを
こちらに提示して来て
数種類ある中からゆず茶を頼んだ
座る様に促された
応接セットのソファーに座ると
テーブルの中央にはファイルが置いてあって
『そちらのファイルに…注意事項
の方、ありますので、ご確認頂いて。
誓約書の方にサインをお願いします』
店の奥から出て来た別の店員が
そう書類の説明をして来て
『シーカヤックの方、
とても安定性のある、
安全な設計になってますので。
誓約書の様な事故にはまずなりませんから、
その辺りはご安心して頂いて結構ですので。
ご予約のクリアカヤックの方、一人乗りと
二人乗りが御座いますが…』
「二人乗りでお願いしたいのですが」
『はい、畏まりました。
念のためのライフジャケットのみ
着用を依頼しておりまして。
今まで、沢山のお客様
こちらのカヤックご利用頂いておりますが。
一度も転覆した事はありませんので』
サービスのコーヒーと
ゆず茶を頂きながら簡単なレクチャーを
座学として10分少々受けて
それから店の裏手の砂浜に用意されていた
クリアカヤックを見て
みくりが杏寿郎の方を見て来て
「杏寿郎ッ!!コレっ
珍しいやつじゃん!底だけクリアの
クリアカヤックじゃなくて、
全部が透けてるやつっ!!」
『はい、そうなんです。
この近辺のマリンショップで
シーカヤックを扱っているショップさん
幾つか御座いますが、クリアカヤックは
当店だけの取り扱いになっておりまして。
でも、オンシーズンは大変人気なので
ご予約が難しくなっておりますので。
カップルやご夫婦にはサンセットの
ツアーも大変人気なんですよ~』
そう言いながらも
パドルの操作のレクチャーもしてくれる
「あの、他のお客さんは?」
『当店の方、1グループに
インストラクターが1人付く
システムになってますので…。
体験の開始時刻も、お客様のご都合に
合わせてのご案内になりますので』
しばらく間 波が穏やかな
浅瀬でパドルを漕ぐが
「あれ?こんな
カヤックって楽に進めるっけ?」