第48章 3度目のホワイトデーは 前編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
「だから?」
「いや、その、撮るぞって言って
撮ったら、その顔しないだろう?」
じっと困ったような顔をして
みくりが杏寿郎を見つめて来て
「いちご食べたら動画、撮られる
って思ったら、いちご食べられないよ~」
「いや。食べて貰わないと
何の為に予約したのか分からないだろう?
ああ。わかった。スマホを
しまえばいいんだろう?これでいいか?」
杏寿郎が持っていたスマホを
ズボンのポケットに入れると
両手の平をこちらに向けて来て
何も持ってないと見せて来て
疑う様な顔をしながらみくりが
持ったままになっていたいちごを
パクっと口に入れて頬張ると
「んんっ~!甘~い、美味しい~。
杏寿郎も、杏寿郎も、いちご
早く、食べてみて。美味しいからっ」
俺は別にそこまでいちごが好きでもないし
正直いちご狩りはどうでもいいんだが
ニコニコしながら
いちごを頬張る度に
幸せそうな顔をしているみくりを
見るのは悪くないと思ってる
「旨いか?」
「うん、美味しいよ。
すっごい、甘いし、幸せ~。
杏寿郎は?杏寿郎食べてる?」
「あ、ああ。食べてるが?」
「嘘、食べてないじゃん、
全然ヘタ、増えてないじゃないのっ」
みくりが成って居るいちごの中から
「いちごはね、ヘタが反り返ってて
種の周りのね、果肉が盛り上がってるの
それで、完熟のはね…ヘタと
実の間にね、こんな風に亀裂が
入ってるのが美味しいいちごなの」
ホラと大きさは控え目だが
その説明の条件を満たすいちごを
摘むと手の平に乗せて
杏寿郎に見せて来る
「赤ければいいのかと思って居たが」
「ああ、裏側が白い時あるから
葉の影とかのは、見た方がいいよ?」
そう言いながら なぜか
自分の口に入れないで
ヘタをもぎ取ると
杏寿郎の方にそれを差し出して来て
「はい、杏寿郎。あーんして?」
促されて杏寿郎が口を開けると
先程のいちごを放り込まれる
みくりがジッと
こちらを見ていて
口の中のいちごを噛んだ時に
フワッと広がる香りと
濃密な甘さが濃く感じて
「これは…、美味いな」
「でもね、そうじゃないいちごに、
偶に凄い、美味しいのがあるの。
この法則じゃないのに、
凄い美味しいやつがあってね。
でも食べないと分からないから
シェアしたいくても出来ないし」