第12章 銀の流れる川 前編 お相手:竈門炭治郎
おにぎりを食べ終えたみくりが
指についていた米粒を舌で舐めとった
ドキッとしてしまった
いや 家で妹がしていたら
行儀が悪いと怒っていた所だが
ここでは手も洗えないし
仕方なく……だったのは分かってるけど
何だろうな…… この感じ
自分の中にある 感じたことの無い感覚を
炭治郎は覚えて 戸惑っていた
「私のおにぎり、ひとつあげようか?」
「ええ?そんな、悪いですからっ」
「炭治郎君は、食べ盛りの男の子なんだから、
沢山食べないとね」
そう 言って 自分の皿の
おにぎりをひとつ 炭治郎に差し出して来て
「大丈夫ですから、
それはみくりさんが、食べて下さいっ!」
「いいよいいよ、どうぞ」
そう言って差し出されたら
いらないと断れなくて
そのおにぎりを受け取った
炭治郎がおにぎりを
食べるのをニコニコとみくりが
穏やかな笑顔を浮かべながら
見つめてくれていて
食べにくさを若干感じながら
炭治郎はおにぎりを食べきった
「ご馳走様でした、美味しかったです」
自分が作ったおにぎりでもないが
目の前の純朴そうな少年は
私に真っすぐにお礼を言って来た
「いえいえ、お粗末様でした。さて、後は……、
果報は寝て待てでもしますか?」
「え?え?寝るって事ですか?」
寝るって この状況で?
今から?……そんな
「流石に、処刑するんだったら、
わざわざご飯食べさせないって」
そう言って みくりが座敷牢の隅にゴロンと
寝ころんでしまったかと思ったら
1分も経たない内に寝息を立てていて
その寝息を聞いていて
ああ この人も全集中の常中だと気が付いた
それにしても 凄いな
この状況で すぐに寝れるとか
見張りしといた方がいいかと
炭治郎は思って
しばらく起きている事にした
この村から
それほどに娘が消えているのなら
みくりさんの事は ある意味やすやすとは
殺しはしないだろう
俺はまだ 子供だったから生かされてるのかも
知れないが 真相がわからない
とにかく この集落からは
嫌な匂いしかしない
「早く……ここから出ないと」