第12章 銀の流れる川 前編 お相手:竈門炭治郎
「捕まって、座敷牢とか勘弁して欲しいなぁ」
「はははは、いくら何でもそこまでは……」
とは 思っていたんだけども
「いやぁ、参ったね、炭治郎君。まさか
本当に座敷牢に入れられるって思ってた?」
この集落の長に 話をしに行ったのはいいが
よそ者に対して 排他的な村の人々に
取り押さえられて
座敷牢に入れられてしまった
それも 日輪刀も取り上げられてしまったし
困ったものだ
「みくりさんの言ってた通りに、
なってしまいましたね、どうしますか?」
「処刑するつもりがないのは、助かったけど
まぁ、これで例の日まではこの村に居れるのなら。
これはこれで、良かったのかな?」
「そうでしょうか?でも、日輪刀もないのに
鬼が出て来たら……」
殺すつもりがないのは
何となくわかった
俺達にその娘がいなくなるのを
邪魔させない様に閉じ込めたのだと
食事におにぎりとお漬物も出されたが
匂いを嗅いでも 毒の入ってる感じがしなくて
食べても安全そうだ
「殺すつもりは……ないみたいね、今は」
みくりが上の様子を気にしている様だった
「誰か……来てるみたいですね」
上から言い争いをする声が聞こえる
声が聞こえるだけで 会話までは
ここまでは聞こえないが
善逸なら会話の内容も聞き取れただろうが
「おにぎり、食べようよ」
こんな時に食べる気になるのは
きっとみくりさんが今まで
鬼殺隊として死線をくぐって来て
食べられる時は食べて
休める時は休むのを
ずっと して来たからだ
今だって 動揺してる匂いもしないし
驚くほど 冷静だ
炭治郎が返事を返さなかったので
自分の分の皿を手に持って
みくりがおにぎりを持つと
もぐもぐと食べ始めた
「炭治郎君!美味しいよ。毒とかもなさそうだし
食べたらいいよ」
「え、あ、はいっ!俺も頂きます!」
そうか 俺が食べようとしなかったから
安全だって 先に食べて見せてくれたのか
「美味しいね、炭治郎君」
目の前のおにぎりを食べているみくりが
そう声を掛けて来て笑っていた
こんな時に のんびりおにぎり食べて
ほっこりしていて良いのだろうか?