第12章 銀の流れる川 前編 お相手:竈門炭治郎
「みくりさんは、鬼殺隊に入って
どれぐらいになるんですか?」
炭治郎の方もみくりが何故
鬼殺隊に入ったのか
どれぐらい居るのか気になってしまって
聞いてしまった
「そうねぇ、14の時に最終選別を受けて、
4年になるかな?」
と 言う事は みくりさんは18歳なのか
落ち着いている雰囲気だったから
俺よりも 年上だとは思っていたけど
みくりさんからは
とても優しくて 穏やかな匂いがする
心根の優しい人なんだな
でも その奥に
色濃い悲しみの匂いがして
きっと 誰にも言えない悲しみを抱えて
ここに居るんだろうなぁと
炭治郎は考えてしまっていた
初対面の俺が そんな込み入った話を
するのもおかしいし
「そうだったんですね。
もう、4年もこのお仕事をされてるんですね」
でも 18歳なのなら
普通なら 誰かの所に嫁いだりしてる年齢だ
こんな綺麗な人が
それをせずに ここに居て鬼を狩るのは
尋常じゃない
因果が彼女にはあるのだろうけど……
それ以上の事を聞き出すのは躊躇われてしまって
その日は食事を摂って風呂を頂いたら
すぐに眠りについてしまった
次の日の朝
例の山の奥にある集落を目指して
炭治郎とみくりは向う事にした
正直 俺は甘く見ていたのかもしれない
山の入り口の集落から
そんなに山間の集落は離れていないのかと
思っていたのだが
相当な距離があるようだった
俺は元々山で育ったから
山道を歩くのは慣れていたし
狭霧山でも修行していたのだ
炭治郎が想像していた以上に
標高の割に道が険しいのだ
「私……、この仕事、
ちょっと舐めてかかってたかも」
後ろに居たみくりがそう漏らした
「俺の家は、山にあったので
山道は慣れているつもりでしたが。
正直、ここまで道らしい道もないとは……」
獣道らしい 獣道もない
当てもなく闇雲に歩き回れば
遭難してしまうかもしれない
スンスンと鼻を動かして
周囲の匂いに炭治郎が意識を集中させると
風に乗って
肉が腐敗して腐るような
刺激臭にも似た 匂いを感じた
他は山に ありきたりな匂いばかりだった
気に留める様な匂いはしなかった