第12章 銀の流れる川 前編 お相手:竈門炭治郎
「それは、鬼への生贄にされるか、
子供が産めなくなるまで、
ボロ雑巾の様に扱われるかって事?」
「そうです、だからみくりさんはここで……」
「でも、ここに居ても、
かどわかされるかもよ?」
ああ そうか それもそうだった
「元々私が、この任務に来たのも、
囮になる為に選ばれただけだし?
あ、ここが今日の宿ね」
みくりが村の奥の方にある
大きな家の前で足を止めた
どうやらここが今日の宿らしい
宿に着いて
部屋に案内してもらうと
みくりさんがお茶を淹れてくれて
「はい、どうぞ。炭治郎君」
「あ、ありがとうございます!」
こうやって 改めて
みくりさんの顔を見ると
綺麗な人だなぁって思ってしまう
しのぶさんも綺麗だけど
また違った 儚さのような
そこはかとない 色気を感じる人だった
「飲まないの?」
「あ、え、いえ、頂きますっ!」
ぐいっと炭治郎が湯のみのお茶を一気飲みする
「ふふふふ、
そんなに喉乾いてたの?お代わりいるかな?」
「お、お願いしますっ!」
炭治郎が湯のみをみくりに差し出して
お代わりのお茶を淹れて貰うと
その湯呑を受け取る時に指先が触れてしまった
「っ、す、すいませんっ」
慌てて手を離そうとしたのを
逆に反対の手を添えて
包むように握られてしまった
ドキドキと胸が跳ねる
「あ、あの…っ、みくりさん、手が…」
顔を真っ赤にして 炭治郎が言った
「え、ああ、ごめんね?でもあの勢いで
手を離したら、お茶が零れて火傷しちゃうよ?」
「そう、ですね。すいませんでしたぁーーー!」
炭治郎が謝罪して 深々と頭を下げた
その様子を眺めながら
この 竈門 炭治郎と言う少年は
何て 素直で純朴な少年なんだろうと
みくりは考えていた
そう思うと同時に 聞いてみたくもなった
この 心優しい 絵に描いたような
真っすぐな少年はなぜ
この 世界に身を置こうと思ったのかと
彼は優しい
鬼狩りには向いてないんじゃないかって