第12章 銀の流れる川 前編 お相手:竈門炭治郎
最期の行方不明者が出てから
もう すぐ
次の行方不明者が出る時期である
半年を迎えるらしい
山間部にあるその集落よりも
山の入り口の方にある集落で
その隊士と落ち合う予定だった
炭治郎がその集落に着くと
そこに居たのは一人の女性の隊士だった
「は、はじめまして!竈門炭治郎です。
今回は、よろしくお願いしますっ!」
「ああ、君が、今年の新人の隊士君?
私は、みくり、小野寺みくり。よろしくね」
そう言って ふんわりと
そのみくりと言う名の隊士は笑った
綺麗な…人だ……
ぼんやりとその人に
思わず見惚れてしまったぁーー
「君がここに来るまでに、例の集落について、
ここで情報収集してたんだけど。
その村は、よそ者を極端に嫌うらしいし、
炭治郎君も、ここに来た所で疲れてるでしょ?
今日はここで、休んで、明日の朝から
山登りしましょ?」
「あ、はいっ!分かりました!」
とみくりの言葉に炭治郎が返事を返した
「でも、どうして……そんな山の奥に集落が…」
「山間部に集落があるのは、別に珍しい
事じゃないけど、でも……銀が取れるらしいよ?
言い伝えみたいなのだけど、
銀の流れる川があるんだって」
山の入り口の
集落の中を歩きながら
みくりが知り得た情報を炭治郎に伝えた
銀が採掘できる
鉱山でもあるのだろうか……
でも おかしいな
銀の取れる 鉱山じゃなくって
銀の流れる川…って 言い伝えなのか?
砂金が川から取れることがあるけど
それみたいに銀が取れる川があるのだろうか?
「銀が流れる川……ですか?
そんな物があるんだったら
この辺りももっと賑やかになってそうな
感じがしますが。どちらかと言うと
…真逆な感じがします」
心なしか 集落の人間の表情も
落ち込んだ感じに見える
「もう、例の集落には娘が一人しかいないのよ…」
そうか そんな小さな 集落なのだ
若い娘の数なんて そこまで多くもないだろう
そうか その集落から一番近い場所にあるから
この集落の人々は恐れてるんだ
自分たちの村も そうなるのではないかと
「そう言えば、村から娘が消えるのは
半年ごとでしたよね?後何日後ですか?」
「今日はここで休むから、
一日差し引いて二日後かな?」