第16章 釘
「…っはぁー!? 穂波ちゃんこんなゴツいの乗ってんの!?」
『…あ、車? うん、お兄ちゃんのだよ』
「…そらそやろ、こんなん買う金、俺らの歳で持っとるやつそうそうおら… いやおるか」
『…笑 おるね』
いや普通におるわ。 研磨くんがおる。
買うか買わないかは別として、キャッシュで余裕で買ってまう。
…ほんで、穂波ちゃんのお兄さんって……
「お兄さん…プロサーファーやったっけ?」
『うん、それでベンツがスポンサーついてくれてて、車は今は全部ベンツ。
お兄ちゃんヴィンテージの車が好きなんだけど、それでも新車もね、乗らなきゃで。そんな感じ』
「全部ベンツて… 一台ちゃうんか」
『……まぁそんなわけで、海行こ! ちょっと待っててね、上着替える』
そう言ってバックドアを開けて、
穂波ちゃんは躊躇なくTシャツを脱いだ。
…こう、腕をクロスさせてそのまま上に上げてっていうあれ。
「…ちょちょちょ……ここで脱ぐん? しかも俺の前で脱ぐん!?」
『…へ? だって水着だよ?』
「わかってる、わかってる… けど!」
でもなんか、あかんもん見てる気してまうやん!
へそも腹も… くびれも…
んで、布に覆われたおっぱいも…
『…すごい見る』
「だって目ぇ離されへんもん」
『…なんでよ 笑』
「穂波ちゃんにとっては普通でも俺には刺激的なの!!」
『…笑 安心して、今日はこれ着るから』
あばあばしとる俺のことなんか気にも留めんと、
穂波ちゃんはウェットスーツを羽織る。
上だけのやつ。ラッシュガードみたいな。
…それから、