第15章 バンバンジー
ー研磨sideー
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「…なぁ、それでよ、あの動画はどうなってんのよ?」
夕方、クロが家に来て。
月曜日の夕方からわざわざ来なくてもとか思ったけど。
まぁ、ご飯作ってくれるからいい。
今、食べながら動画のその後の今の状況について聞かれて話したとこ。
大学のトモダチにしたような話をもう少し細かくというか。
なのに
あの動画はどうなってんのよ
って、意味わかんない。
「何が聞きたいの、意味わかんない」
「いやあの、動画よ。 世間とかゴシップとかそういう下世話な話じゃなくて。
あの神がかった動画、あれなに?」
「…あれは、穂波のそのまんまが映っただけ。
神がかってるよね、わかる。だからもっと純粋に広まってくれた方が嬉しいんだけど。
まぁもう、今更だよね」
「…ジュノ?韓国人? あれは一体どういう…?」
「あぁ、そっちか。すごいよね、あのカメラワーク。
穂波と同じ大学に行ってる人で、よさそうだから頼んだらやってみるって言ってくれて」
「…全部投げたの?」
「んー、まぁ。 ただ…」
「ただ…」
「ただちょっと、条件は出したかな」
「…詳しくどうぞ」
「一発撮り、一発OKでお願い。じゃないと興味ない。意味がない。
穂波が今のなしって言った場合をのぞいて。
ジュノのミスでのテイク2はなしで って」
(…ゾッ)
「…実際すごいの撮れたよね。ジュノのフォロワー数もすごい伸びてるし。
色々機材メンテとか購入とか諸々できるくらいは渡した」
「…でもあれは確かに編集されてない、一つなぎの映像だから出る空気が確かにあったな」
「うん。穂波は多分、芯から人のためには踊れないから。
自分の気持ちいいところにただただ向かってく過程の中で誰かのことが浮かんだりとか
感謝の気持ちとか浮かんだりとかはあるんだろうけど。
根底の部分にはそれはないんだと思う。 どこまでも控えめでどこまでも貪欲。
だから、もう一回撮りますとか… ないなって思って。
…いや綺麗だろうけど、それは最大限の魅力ではないと思った」
「ナルホドねぇ… んで、宮侑選手との熱愛疑惑についてはどういった対処をお考えで……」