第15章 バンバンジー
「宮侑と穂波がだよ。研磨がブチ切れそうだから言うけど」
『え?』
え、え、えーーーーー!?!?!?
『な、な、なんで。あの侑くんらしいコメントからどうして…
というかコメントってそんな簡単に見つけられるものなの???』
「それは、なんかもう、最近ではあることだよ。すごいよね…」
「…穂波、それでおれはね。 おれは……」
『………』
そこで、研磨くんは研磨くんの考えを聞かせてくれて。
「…だからちょっと冷たいかもしれないし、
不本意ではあるけどおれは関係ないってスタンスを貫きたい、今はまだ。…表では。
それでもいい? 穂波が辛かったら違うやり方にする」
『…ん? ううん、それでいい。 ありがとう研磨くん』
わたしの日々のこと、ダンスに対する想い、プライバシーの確保、
それからわたしが今後選択するかもしれない、いく通りもの可能性を潰さないための配慮。
全部受け取って、その上で伝えれることはありがとうしかない。
「…侑くんにはクギさしとくけど」
『…?』
「いやだって、会いに来た!とか言いかねなくない?
今スケジュール的にもいけるかもって感じだろうし」
『…あぁ』
「関係ないってスタンスはあくまでも、表面のことだから。
それ、ほんと、忘れないでね」
『うん。忘れるわけない』
「…ん。 カズマも穂波のことよろしく。
カズマがいてよかった、ほんと」
「だよね、おれもそう思う」
じゃあ今から映画観るから用意しとく、ってカズくんがその場を離れて。
研磨くんと少し話をした。
仕事のこと、今日クロさんが家に来るってこと、翔陽くんの日本での準備の話。
それで、またね、ってして。
それすらも含めた、わたしたちの今の日常を続けていく。
わたしがSNSを始めたところで
研磨くんが人気YouTuberになったところで
わたしたちの積み重ねた時間とそこにある想いは揺るがない。
なんだかそんなことを、思う時間だった。