第15章 バンバンジー
ー穂波sideー
6月7日、7時。
日本は23時。
先月撮った動画を、昨日の夕方(日本は午前中)に研磨くんがアップした。
「気にせずいつも通り過ごすようにして。
見たければ見ればいいけど… んー、カズマのアカウントから見させてもらうのがいいと思う。
…とりあえず、24時間経過するまで。
…なんかごめん、穂波のアカウントなのに。
なんていうか、見ないといけないって思わなくていいからって言いたいだけなんだけど」
と、投稿する少し前に研磨くんに電話で言われた。
とはいえ以前からそれはちょこちょこ言われてたので、
いつも通りの日曜ってどんなかなとかってカズくんと話したりして、今は海にいる。
もう少しサーフィンしてから、マーケットに行って食材を買いつつ、
朝ごはんを買い食いする。
家に帰って、おもいおもいに家時間を過ごして、
夕方ごろに散歩&スケボーをして過ごそうってことにした。
こちらの大学はもう夏休みで、わたしはサマーセッションをとれるだけとることにした。
バイトもする。海もスケボーもダンスも何もかもを振り切って味わいたい、っていう
ある意味ゾーンみたいなのに入りかけてる。
まだ、入ってる、とは言えないのは明日からどんどんとセッションが増えていくから。
今はまだ物理のクラス一つだけなので、まだまだこれからという感じ。
昨日、一度だけカズくんの携帯で動画をみた。
パソコンで動画自体は確認していたので特別何も思わなかった、と言ってはおかしいかな…
インスタというものもまだやったことがないから、
わぁ、載ってる。カズくん、♡押してくれてるんだね、ありがとう。
ねぇねぇ、カズくんの投稿も見せて見せて。みたいな感じだった。
ビデオ自体はすごく気に入ってる。
お兄ちゃんが撮るのとも当たり前だけどちょっと違って。
無機質な空気がぴーんと一本張っている中での優しさ、みたいな。
うまく言えないけど、とにかく静かに優しい、圧の全くない映像だと思った。
研磨くんの無茶振りを見事形にしたジュノは本当に本当にすごいと思ったし、
こんなに違和感のないものをプロデュースした研磨くんとジュノには尊敬の気持ちを、
そしてそこにわたしを参加させてくれたことに感謝の気持ちを抱いてる。