第15章 バンバンジー
…おそらくこの動画では少なくとも2人にボールをパスしてる。
そもそもなんでって考え出すとすっげー数にはなる、んだろうけども。
ダンサー、それからフィルマー。
ダンサーには報酬は特にないかもしんねーけど、
これフィルマーには確実に報酬のある仕事としてふってんじゃねーかな。
…ってくらいのクオリティなんすけど。
…ほぼほぼ絶対あってるとは思うけど、
おそらくダンサーは穂波ちゃん。
動画をつくるそもそものきっかけがきっと、研磨の会社…なんじゃねーかな。
「タグ、これがカメラマンだろ?
んでこれは、なんなんだろ?」
動画を見せてくれたやつが呟きながら別のアカウントに飛ぶ。
【Bouncing Ball】
趣味・娯楽
(株)bouncing ball
「…なんだろうな?まぁ関わってんだろな。
ていうか、このアカウントは他に動画あんの?」
「いやまだこれ一個目。やばくない?この再生回数とフォロワー数。
んでこの動画、投稿されたの5時間前」
「…やばいけど、これみたら当たり前って感じではある」
「確かにそれ言えてるわ、黒尾。 …えー、えっちぃよなこの子」
「………」
「マスクがまずエッロい。 踊り自体は別にお色気じゃねーのに、エロい。
会ってみてー… っつーかどこの国の人かもわかんね。
日本人の曲だけど調べたら世界的に有名な人らしいし」
「…へぇ」
「いやいやいや、お前らこの神聖な動画みてそんな下世話なこと思うわけ?」
もう一人のやつが入ってくる。
「いやそればっかじゃねーけど、でもこの色気はどうやっても漂ってるやつっしょ。
そうなってくると神聖さすらエロさの演出にもなりかねないっていう…
そーゆーいい例じゃんな!な、黒尾!」
「…まぁ、な」
正直俺は、今回エロさなんて感じてる余裕なかった。
すごすぎてわけわかんなくなった、引き込まれた。
本物をみたことがある、
でもあん時からアップグレードしすぎじゃね?
それとも内側にあるものがただただ開放されただけ、とかなのか?
と、思いつつ。
本人をよーく知ってるからこそ、
その色気に関して全否定もまた、できずにいる。