第15章 バンバンジー
ー研磨sideー
治くんから小包が届いた。
穂波がアメリカ行ってからもたまにこうして送ってくれる。
治くんの作るものは文句なしに美味しいから、
おれ結構、楽しみにしてる。治くんの店。
いつか、ホントに開いてほしい。
【棒棒鶏だけはちょっと一手間頼むな!
作り方書いとくけどきゅうりとかトマトも自分で買うんで。
あとの分はいつもと一緒で基本解凍するだけ、あっためるだけやからな】
穂波がいるときは、揚げてない揚げ物とかもあったんだけど。
おれだけになってからは、そういうのなくって。
けど今回は棒棒鶏は自分で半分作るみたいになってる。
冷凍されたほぐしてあるささみとドレッシングが入ってて、野菜は自分で用意して、みたいな。
……なんで治くんこんなにおれにまで色々してくれるんだろ。
食べてもらうのが好きなのかな。
よくわかんないけど、美味しいしありがたい。
…ていうか棒棒鶏のセットわざわざ用意してくれるってことは治くんも配信観たかな。
今は6月。
先月は色々あった。
想定内も想定外も。
で、今月も色々動く。動きがある、っていう方がいいかな。
──「Bouncing Ball?」
「うん」
「…弾む ボール?」
「うん、まぁ。…ロゴは将輝さんに頼んだ。 …カズマの父さん。後で見せるね」
「…ほぉ …え、なんて?」
「え、だからロゴは…」
「いや違う」
「え、bouncing ball?」
「…(めちゃくちゃバレーが浮かぶんすけど気のせい?)」
先月末福永のバイト先でご飯食べて、
そのあともう一回クロに会った。うちに来た。
その時に、実はもう起業したんだよね、って話をした。
「…?」
「…なんでもねー なんかすぐにでも取り掛かってることあんの?」
「…んー、まぁぼちぼち」
「コヅケンの会社だってことは?」
「特に発表しない。それはまぁ、おいおい」
「…え、でもなんでその会社名なんだ?やっぱ気になるんすけど。研磨が考えたの?」
「いや、前にマリオの話したよね、穂波がシッターとしていってる家の…」